第9話
この頃から、笑美が腹の中で思っている文句は、まるで笑美と子供は以心伝心なのかと思うほど子供へ丸聞こえになり、タイミングを見計らって子供が夫に伝えてくれるようになりました。そして子供は笑美にこう言うのです。
「出来ないことは出来ないってハッキリ言えばお父さんはブツブツ言いながらもやるよ。お母さんが何でもやっちゃうのも悪いんだよ。自分でやれって伝えていいんじゃないの?」
と。
盲点!
単純明快なご意見!
ナイスアドバイス!
笑美はそう思うのです。でも笑美の性格上、働いている人に引け目があるせいで自分がその場にいる時には夫の用事でも準備でもやらずにはいられないのです(笑美も相当な頑固者かもしれません)。
そこで子供がこんな提案をしてくれました。
「ならば、お父さんが帰って来たら自室に行ってしまえばいい」
と。
なるほど!その手があったか!
いやぁ~、目からうろこのアドバイスです(笑)
その場にいるからやらずにはいられない性格の笑美。ならばその場にいなければいいのだということにどうして今まで気が付かなかったのでしょうか?笑美は子供のアドバイスを実行するようになりました。
さすがに朝はその場にいないわけにはいかないので夜だけは夫が帰宅する前には自室に行くようになりました。
食事の支度はしてあるので、自分が食べたいタイミングでレンジで温めればいいのだから。たまにリビングで用事をしている間に夫が帰宅することがあります。そういう時には、夫がお風呂に入っている間に自室に行ってしまう笑美。
子供はそれを承知なので、快く「おやすみ~♪」と言ってくれます。幼い頃は笑美が居ないとメソメソしながら探していたというのに、成長って素晴らしいです!
子供のアドバイスや協力が得られるようになった頃から、笑美は少しずつ今までのような自分で自分の首を絞めるような夫への世話から解放されるようになりました。
もちろん子供が成長するということは、子供だって自分の時間が増え、時には家に居ない時もあります。
アルバイトに遊びに・・・と今しか出来ないことをして楽しんでいるので、子供が居ない時には自室に行くタイミングを逃したり。
夫が休みの日などは1日中食事の心配をしたり。
という要領の悪さを発揮している笑美ですが、子供が作ってくれたきっかけのおかげでタイミングがうまくいけば、自室に逃げ込むことも出来るようになりました。この調子なら子供が独立するまで、離婚せずに頑張っていけそうな気さえしています。
もちろん、どんなに【みかた】を変えようと思ってもあまりに辛すぎて変えられないこともたくさんあります。そんな時は本当に辛くて体調不良にまでなることもあります。
それでも笑美が頑張れるのは、今までひとりで頑張って来たことに対して子供が助けてくれるようになったこと。笑美の周りの友人たちが支えてくれていることが大きいことだと思います。
これからも笑美は離婚するまでは【みかた】を変えて、この結婚生活を乗り切り、いつかチャンスがあったら夫から離れて残りの人生を楽しもうと思っています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます