第7話

 ならば、どうすればいい?と笑美は考えます。【俺様主義】は加齢とともに頑固に成長中です。既に、手に負えません。しかし、そこから逃げ出す経済力はありません。


そこで考えたのが、ずっと言っている通り【みかたを変える】なのです。


 少々言葉は悪いのですが、笑美の場合、夫が稼ぐお金はすべて笑美が管理しています。毎月生活が出来るだけを残してすべて貯金に回すということが可能なのです。少しずつ貯金をしていても夫は何も知りません。


もちろんすべて夫の資産なので、そこから黙って笑美名義で貯金をしていて、いざ離婚となった時にその資産は誰のものなのか?と問われたら厳密に言うとすべて夫の資産で、笑美は会社で言うところの横領扱いにされる可能性もあるのです。


(えっ?本当?と思った方もいますよね?いえ、嘘ですよ。妻が専業主婦で収入がない場合でも財産は半分ずつになることが多いそうです。ただし特例で均等に分けられない場合もあるそうです。)


 ただ、こうした手続きをしっかりやるにはやはり個人の話し合いより弁護士を入れてした方が円滑だと言われています。この弁護士費用をケチってしまうと後々思いがけない落とし穴があるかもしれないので、詳しく分かっていない場合に離婚を考えているなら弁護士を入れることをお勧めします。


 笑美はこんな感じで色々調べていますが、今のところすぐに離婚をしようとは思っていないようです。理由は前述の子供が独立するまでは親としての責務を果たすということに尽きます。


笑美自身、既に夫との関係を修復する気が全くないのです。あまりにも考え方も行動力も性格も違いすぎて【どちらかが合わせる】なんてレベルではなくなっているからです(どちらかが・・・と書きましたが、読者の皆さんはもう想像がつくと思いますが夫は誰にも合わせられる性格ではありませんので正確には妻が・・・となります)。


 よく、芸能人などの離婚の理由に【性格の不一致】がありますが、芸能人に限らず一般人だってこの理由での離婚は結構多いそうですよ。笑美は声を大にして言いたい!


【性格は日々変わっていく!】


と。


たいていの人はおそらく結婚を考えた時期から実際に結婚する時期くらいまでは「この人となら一生を添い遂げられる」と思って疑わないと思います。特に恋愛結婚の場合は交際期間もそれなりにあり、お互い相手のいいところも悪いところも分かって結婚を考えることが多いと思いますしね。


笑美の場合も恋愛結婚だったので、当時は本気でそう思っていたのですよ。おそらく笑美自身の性格だって変わっていると思います。昔は甘えん坊だったのが子の親になり少しずつ甘えん坊から卒業していきました。


しかし、結婚当初、この甘えん坊の笑美をサポートしてくれていたはずの夫が子供が出来た頃から少しずつ甘えん坊になっていくという信じられない想定外が起きたのです。


【長男、長女が下が生まれた時にありがちな赤ちゃん返りかよ!】


と笑美はツッコミたいのですが、夫のこのミラクルが加齢とともに厄介な性格を形成していくのです。そして結婚十年も過ぎると性格がほぼ逆転してしまったのです。


女は親になると強くなり、男は親になると弱くなると何かで聞いたことがありましたが、本当なんだなぁと笑美は大きく頷くのでした。

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