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「僕はね、頑張っている人が好きなんだ」
両手でグラスを持って伏倉さんが言った。
「その姿を見ているだけでこっちも元気になれるじゃない?」
そう言ってニッと笑った。その笑顔は本当に無邪気で、俺よりもうんと年上なのに少年のように見える。
「だからさ、応援したいんだよね」
「素敵ですね」
「そんなんじゃないよ。ただのジジィのお節介みたいなものさ」
そう言ってふ、と伏倉さんが笑う。
「そんなことないですよ」
それってとても素敵なことじゃない? 応援が必要でも実際応援している人は多分、少ないと思うし。俺みたいにそういう働き方をしている人がいるってことも意識していない人も多いと思うもの。
「そう言ってくれるかい?」
「もちろんですとも」
もっと俺も周りも見ないといけないな。世の中には沢山の働き方があるって。
「僕にはね、子供が居ないんだよ。だからかな、こうやって頑張っている子に僕なりのやり方でなにか力になってあげたくて。なんて、ちょっと恥ずかしいね」
と、珍しく恥ずかしそうにした伏倉さんに俺の中の好感度が急上昇。何このおじ様、ただのイケおじじゃなかった。
「格好いいです」
これから先、伏倉さんにみたいにお金持ちになることはないだろうけれど、こんな素敵なおじ様になれたらと本当に思う。
「ふふ、僕はね君のことも応援しているんだよ」
「え、私ですか?」
「君と僕は知り合って短いけれど、君が努力家だってことは見れば分かるもの。だから僕はここへ酒を飲みに来るんだ」
「・・・ありがとう、ございます」
「それはね、こっちのセリフだよ」
そう言って笑って見せる。
あぁもう本当に、このおじ様は。
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