世界は消滅する

雨月 葵子

第1話 世界の法則

 世界が消滅すると最初に予言されたのは百年前だった。預言者は何通りもある未来を観測し、消滅を止める術を探したが、見つけることができなかった。

 預言者は世界の監視者に告げる。


「世界の消滅は止められない。けれど世界を闇から救うことはできる」

「闇の王が死ぬということですか」

「そうでなければ世界は闇に食われ、神の領域を侵食するだろう」

「神域を侵すことを許すわけにはいきません」


 監視者は世界樹に杖をかざし、彫刻の魔法を使う。


『闇の王の帰還を待つとき、世界は再生されるだろう』


 世界樹はやがて「再生の樹」と呼ばれるようになった。

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