3:5=ミドリスプモーニ
カゲトモ
1ページ
バーと言えば、しっとりとしたジャズと葉巻を咥えたおじ様がロックグラスを揺らしているのを想像する人も多いと思う。・・・さすが言い過ぎたかもしれないけど、やっぱりまだ大人の男性が酒を飲む場所としてのイメージがあるらしい。
たまに若い女の子のグループが入って来ては安心したような表情を見せる時がある。そうだよ、バーって言ってももっと自由に気楽に入って来ていいんだよ。ここはお酒を楽しむ場所なんだから。
「いらっしゃいませ」
「「こんばんは」」
声を掛けると二つ分の挨拶が帰って来た。案内したカウンターへスッと腰かけた彼女たちはもうすっかりとここへ馴染んでいる。最初は小動物みたいにビクビクしていたっていうのに。
隣同士に座った彼女たちは、顔を身わせることもせず各々オーダーした。
「いつもので」
「おすすめで」
右に座った彼女が「いつもので」で左の彼女が「おすすめで」だ。と言っても二人ともいつもと同じオーダーではあるんだけど。
一見双子のように見える容姿の良く似た二人は、実際血縁関係はなくただの腐れ縁なのだとか。服装の系統も、肩に掛かるくらいのストレートヘアもそっくりだ。きっと街で見かけたらどっちがどっちなのか分からないだろうなと、いつも思う。だって持っている雰囲気も良く似ているんだもの。
「お待たせいたしました、ミドリスプモーニとフレッシュピーチのマティーニでございます」
メロンリキュールの入ったグリーンのグラスを右側のヤヨイさんへ、白桃を贅沢に使ったショートグラスをサツキさんへサーブする。反応は二人とも同じで、嬉しそうなため息を吐いてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます