3:5=ミドリスプモーニ

カゲトモ

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 バーと言えば、しっとりとしたジャズと葉巻を咥えたおじ様がロックグラスを揺らしているのを想像する人も多いと思う。・・・さすが言い過ぎたかもしれないけど、やっぱりまだ大人の男性が酒を飲む場所としてのイメージがあるらしい。

 たまに若い女の子のグループが入って来ては安心したような表情を見せる時がある。そうだよ、バーって言ってももっと自由に気楽に入って来ていいんだよ。ここはお酒を楽しむ場所なんだから。

「いらっしゃいませ」

「「こんばんは」」

 声を掛けると二つ分の挨拶が帰って来た。案内したカウンターへスッと腰かけた彼女たちはもうすっかりとここへ馴染んでいる。最初は小動物みたいにビクビクしていたっていうのに。

 隣同士に座った彼女たちは、顔を身わせることもせず各々オーダーした。

「いつもので」

「おすすめで」

 右に座った彼女が「いつもので」で左の彼女が「おすすめで」だ。と言っても二人ともいつもと同じオーダーではあるんだけど。

 一見双子のように見える容姿の良く似た二人は、実際血縁関係はなくただの腐れ縁なのだとか。服装の系統も、肩に掛かるくらいのストレートヘアもそっくりだ。きっと街で見かけたらどっちがどっちなのか分からないだろうなと、いつも思う。だって持っている雰囲気も良く似ているんだもの。

「お待たせいたしました、ミドリスプモーニとフレッシュピーチのマティーニでございます」

 メロンリキュールの入ったグリーンのグラスを右側のヤヨイさんへ、白桃を贅沢に使ったショートグラスをサツキさんへサーブする。反応は二人とも同じで、嬉しそうなため息を吐いてくれた。

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