#021 編集者はエスパー?

 マンガなどでたまに出てくる編集者が、作品だけでなく、主人公の真理や細かな状況をピタリと言い当てるエピソードがあります。パッと思い出すのは「だがしかし」で主人公が編集者に漫画を持ち込むときのエピソードでしょうか?


 まぁ、私も書き手として、ある程度は分かります。『あ、コイツ深夜のテンションで勢いだけで書いたな』とか、『設定を詰め込み過ぎて、本編よりも設定資料の方が分厚くなっちゃうタイプだな』とかです。


 じゃあ、実際の編集者はどうなのかと言われれば、所詮は人の子なので、出来る出来ない、得意不得意、知識の片寄り。色々あり『得意な分野では確かにそんな感じ。でも、抜けてるところもある』って感じでしたね。確かに、編集者なので、編集・出版・業界の動向、などの知識はありますが、意外に無いのが『担当している作品の知識』です。もちろん、ほどほどにはありますが、そこは仕事であってマニアでもファンでもないので、微妙な勘違いや、その先の展開などの知識が無いと感じるところが多かった印象です。


 あと、大きいのは編集との相性。アニメ化される様なビックタイトルであっても、その良さを理解できない編集、あるいは適切なサポートが出来ない場合は絶対にあります。これは無自覚なものも含み『編集者が変わったら途端によくなった』なんて事もあったりなかったり。


 それは、プロの世界だけでなく、Web小説を投稿する時にも言える事だと思います。例えば『ニッチな内容のタイトルで、なかなか対象ユーザーに巡り合えない』とか『投稿サイトの選別段階で間違っている』なんてことも。いい作品を書いているつもりなのにウケない。そんな時は、思い切って投稿サイトを変える、あるいはメインジャンルを変更するのも1つの手であり、実際、私のメインは異世界ファンタジーですが、現代ファンタジーの方が評価がよかったです。



 すこし話はそれますが、漫画に『マンガに、編集って必要ですか?』という作品がある。この作品は、微妙な評判の中年マンガ家と若い編集のやり取りを描く、いわゆる『業界アルアル』系の作品です。編集について考える時は、いつもこの作品が頭をよぎりますね。


 お互い作品作りに対して信念と情熱を持っているんだけど、年齢や性別のギャップからなかなか噛み合わず、互いに自分の理想ばかりを押し付け合ってしまう。あと、本人の実力とは関係なく、時代やトレンド、あるいは出版枠が立ちはだかってくる。書き手は、機会があったらこの作品、1度読んでおくことをお勧めします。(タイトルで検索すれば試し読みも出来ます)


 あと、編集ではないけど、書き方指南みたいなサイトは幾つかありますが、読んでいると矛盾や、単純に割り切れない問題があり『高度な部分では役に立たない』『鵜呑みにしては失敗する』と思える記事を何度か見かけました。それは、個人を対象に書いているのでは無いので仕方のない部分もありますが『取捨選択が必要で、でもそれが分かるなら悩んでいない』って問題が付きまといます。


 そう言う意味では、成功例だけ見ても『それにあやかれるかは別問題』だと思いますね。例えば、なろうは作品が完全に飽和しているので、ランキングに上がればPVやコメントは他サイトの比ではないほど稼げます。しかし、実際は底辺が拾われるチャンスは少なく、宝くじ状態になっています。それなら、ノベプラなど作者へのフォローを重視している若い投稿サイトに乗り換えるのは有効な手段だと思います。


 もちろん、最後は実力やニーズを掴む先見性が必要になりますが、いきなりそんなレベルを求める必要はありません。投稿サイトの交流機能を使う。指南サイトで基礎を学ぶ。SNSで同じ書き手と意見を交換する。行き成り大成功を夢見る気持ちは誰しもあると思いますが、そういう小さなところから1歩ずつ歩んでいく、努力と謙虚さ、そして何より勤勉さと好奇心。それは、書き手には必要なんだと思います。




 そんな感じで、久しぶりのエッセイでしたが、いかがだったでしょうか?

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