#017 アニメ化と作品の構成について

 今期のアニメは、私的に記録的な程見る作品がありません。前期は、突出した作品は無かったもの、見られる作品が多く、ちょっとした気分転換には最適でした。


 じゃあなんで見るものが無いかと言えば、前々からそうですがアニメのジャンルかぶりが深刻過ぎるのが大きな要因だと思います。今期で言えば、ソシャゲと異世界転生モノに極端に片寄っている傾向があります。もちろん、腐向けやラブコメなど他のジャンル、人気作の続編などもありますけどね? そのことごとくが私の思考に合致していないって話です。


(あと、毎回言っていますが…、批判的な事も言っていますが、あくまで個人的な感想で、私はそれらの批判している作品を悪いものだとは考えていません。あくまで私に合わなかっただけで、作品としての価値は充分にあると思っています)




 それはさて置き、ここはWeb小説を投稿する場なので、本題である異世界モノのアニメ化作品について、今回は語っていこうと思います。今期の異世界モノは、私の記憶では5作品だったかな? すこし判定に悩む作品もありますが、とりあえず全体の1割ですね。これは子供向けなどの完全な対象外作品も含まれるので、体感としては2割くらいですね。


 それでは代表的な3作を例に挙げて見ていきましょう。対象作品は超人・慎重・ケモナーにしておきましょう。ちなみに、平均は原作ストーリーを順守していないらしいのでスルーします。


 まずは超人。これは、まさにって感じですね。ニコニコではこれが1番公開が早かったため、それなりに注目が集まりました。まぁ、マヨとかオルガとかそんなのばっかりでしたね。取りあえず、私の感想としては『キツイ、無理』でした。ダンガンロンパの超人高校生設定を、さらに盛って異世界に突っ込んだ感じ。基本的には知識チート系って事になるのかな? ですがドクターストーンのように難しい理論には触れません。基本は『天才だから出来る』であり、アイアンマンっぽい印象ですね。ハッキリ言ってしまえばチートでマウントをとっていく定番を順守した王道作品です。つまり、王道の異世界転生が好きな方向けって事で、それ以上でもそれ以下でもないかと。


 つぎは慎重。この作品、とにかく第一話のインパクトが強烈で、舞台設定からも『このすば』の後継者と噂されるほどでした。かなり皮肉ですけどね。内容としては、俺TUEEではお馴染みの人間味のない主人公が一方的にマウントをとっていくだけのド定番な内容になっていますが、問題なのは作品がギャグに大きく傾いており、例えるならゴブリンスレイヤーをこのすばの世界に転生させたような内容だという点。私の印象としては『声優の演技力に救われた作品』ですね。とにかくヒロインの女神の顔芸と声優の演技が光っており、うまくチート系作品のヘイトをそらしていると思います。1話だけ見れば、間違いなく覇権級でしたが、残念なのはやはり出オチ感が強く、2話ですでに最終回と言われてしまいました。せめて、主人公にもうすこし常識を植え付け、過剰過ぎるオーバーキルを削除して『向こう見ずな既存の勇者のノリを主人公が否定する』みたいな意味での『慎重』だったら3話以降にも期待がもてたと思います。


 最後はケモナー。原作的にこっちが正式なこのすばの後継です。こちらも1話からインパクトのあるスタートでしたが、流石に慎重には敵わず2番手スタート。しかし、2話目ですぐに巻き返して現在1位です。その理由は、やはり純粋な面白さだと思います。もっと言えば、チートは添えるだけ。ライドンキングもそうですが、主人公の強さが明らかにチート級でもそれが本題になってないと嫌味が無く、純粋に漫画設定として受け入れられてしまいます。あと、地味ですが重要な要素として、しっかりアニメ向きの構成になっている点もあるでしょう。毎話、武器を借りパクするお約束など、アニメ原作と思えるほどの構成です。そういう部分は、やはりプロの作家であり、早い段階から編集者が監修している強みだと思います。




 ここで、もののついでなので、時間が無くて出来ずじまいだったドクターストーンの話題にも触れておきましょう。


 この作品、週刊少年誌連載の漫画原作ではあるものの、色濃く異世界転生モノ、それもチートモノのテイストをガッツリ取り入れています。しかし、個人よりもプロ、そしてプロの中でも最大手と言うことで作品の完成度はケモナーのそれを超えています。この作品、実はツッコミを入れ出したらキリがないほどガバガバな設定(例えばメンタリストがライオンに襲われたり遭難する可能性が考慮されていなかったり、武力側勢力がただの山賊だったりなど)だったりするのですが、超人ほど酷い印象はありません。そのあたり、簡略化されているとはいえ理論で裏付けされているので、細かい人や理系の人以外はそこまで気にならないと思います。


 あと、やはり構成が確りしていますね。チートと言っても登場人物にそれぞれに得意分野があるので『主人公だけ』と言うことは無く、目標が明確で、ストーリー展開も確りしています。しかし、そこは少年誌なので気になる部分も。まずはヒロインが空気…、は別にいいとして、突然足を引っ張り合ってピンチになるのなんて、まさに少年誌って感じですよね。友情がテーマなので『雨降って地固まる』的な展開が欲しいんでしょうけど、わりと見ていて不快です。


 話がそれてしまいますが、Web小説の批判で『起承転結がなく単調』だとか『ストーリーに独創性がない』などが上げられると思いますが、私から言わせればソレはナンセンスだと思います。何がいけないかと言えば、Web小説はあくまでWeb小説であり、気軽にスマホなどでタダ読みできる環境だって事です。例えるならお菓子やファーストフードですね。本格的な大作が悪いってことは無いですが、気軽さや手早さが売りの環境でチープさを批判するのは間違いだと思います。


 それでドクターストーンはって話ですけど、アニメでは2クールで構成されており『起』の石化から復活するパート『承』の復活液が完成して武力の人が復活するパート、そしてその人の計画が発覚して対立する『転』人気が出なければここで打ち切りになって『結』となっていたでしょうが、充分な人気が出て再度、環境がリセットされて起からやり直すことになります。


 個人的にこの作品の面白いところは、起承転結の承の部分であり、中でも1番は、よそ者である主人公が科学の力で村の人に認められていく部分だと思っています。逆に、つまらない部分は転や結の部分。特に嫌いなのは『御前試合で足を引っ張り合ったあげく無理のある頓智バトルになる』ところが強引過ぎて見るにたえなかったですね。しかも、これからは本格的に勢力のぶつかり合いが始まって、求めていないバトル要素や、雑になる科学要素が目立つようになっていきます。


 何が言いたいかと言えば、物語として盛り上がるポイントであり、構成としてセオリーにそっているにもかかわらず、転や結の部分がつまらないのです。これは、やはり『原始的な世界で化学を発展させる』という本題から外れているからだと思います。私は、理論的に可能なだけで実際には実現不可能な(週刊誌でありがちな)トンチバトルに興味がありません。私がひねくれているだけと言えばその通りなのですが、じゃあ『私以外にひねた人はいないの?』『化学パートだけ見たいって人はいないの?』なにより『そういう人向けの構成で作品を作るのは間違いなの?』って話に行きつきます。


 『なにを言っているんだ? ダメに決まってるじゃん』と思う人もいるでしょうが、本当にそうですか? Webでもラノベでも『最初は面白かったのに物語が進んで山場に差し掛かったところで飽きて切ってしまった』作品は沢山あると思います。ストーリーでは盛り上がる部分なのに、そっちよりも『日常パートのキャラのかけ合いの方が面白かった』とか『好きだったキャラが退場したから見る気失せた』なんて作品は存在しないのですか? ドクターストーンで言えば、私は武力の人がいない世界でり、村の出生の秘密も別のものである世界で、淡々と化学を発展させていくストーリーが見たかったですね。


 Web小説の本質は、そういったジャンクでチープな部分であり、完成度や展開は(それは良いに越したことは無いでしょうが)『絶対の価値観』ではないのです。だからアニメ化すれば、確かに山なし谷なしのストーリーや、一方的に主人公に都合のいい世界になってしまい、これ以上ないってくらいに叩かれます。しかし、そういった話が好きな人がちゃんと居て、確立したジャンルとして1割を超えるほどアニメ化枠を勝ち取っているのは紛れもない事実です。加えて、枠がある以上、製作費も回収できて、利益もあがっているのでしょう。




 加えて、Web小説のお手軽感は書き手にも言えます。難しい事は抜きにして、書きたいことを好きな時に好きなだけ書ける。もちろん、最低限守らないといけないルールはありますが…、リアルを知る相手にはとても言えない恥ずかしいポエムや中二病ノートを自由に晒せる場所。構成はおろか、小説の基本的な書き方を守る必要もなく、誤字脱字が多くても後から修正できる。それもWeb小説の魅力です。


 だから、読む側もそんな恥ずかしい妄想小説を…、無視するのはいいですが、批判して、あまつさえ投稿サイトから追い出そうとするのは控えてください。最低限のルールさえ守っていれば、作品の内容は問わない。何より内容を問う権利があるのは運営だけであって、読者にはない。それが小説投稿サイトの基本的なルールです。




 最後、荒れて古巣を追い出された作者の愚痴になってしまいましたが…、小説に絶対はない。見方も方向性も自由。ある程度の一貫性と、一部の人だけでも理解してもらえるポイントがあればそれで充分。


 そういうことで、今回は無駄に長くなってしまいましたが、長文失礼と言うことで、これにて失礼させてもらいます。

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