大創作戦争
@iotas
第1話
時計は午前一時を回り、賑やかなこの空港にも徐々に夜の帳が降り始めていた。
既に一日の役割を終えたいくつかの搭乗口の前には、ただずらりと主を失った椅子だけが並び、機械的なアナウンスだけがこの空間を埋める唯一の音になっていた。
「ここならどうですか?」
そんな搭乗口の一つ、51番搭乗口に一組の日本人の男女が姿を見せた。
「おお、いいじゃん。ここでやろう!」
いかにも意志が強そうな目をした女は、時間帯に不釣り合いな明るい声でそう叫んだ。
***
新谷「だってさ。わかったか、
新谷「おーけーおーけー。まあなんだな。咲月は良い姑になるよ。アキコもわかったな?」
藍田「いや、気にしなくていいですよ。僕も自分の作品を他の人に見てもらいたくて、作品を書いているから、こういう機会があってありがたいです」
早水「ミランも大丈夫ですか? まあ、あなたは心配しても無駄かもしれませんが」
藍田「あ、そうですね。まあこれに限らず、どの作品もあまり人に読んでもらったことないけど」
狩野「面白いの?」
藍田「えっ、面白いと思うけど……」
新谷「お前ちょっと失礼じゃないの。面白いに決まってるだろ」
藍田「そう言われるとそれもそれでプレッシャーなんですけど」
狩野「ううん。あと面倒だから、日本ではどこに住んでるのか教えてもらえませんか?」
秌山「それなに、ナンパしてるの? いまやる必要ある?」
狩野「ううん。ボクは今しかないと思うけど。だってさ、面倒なんだよ。こういうのに頭のリソース使うの。だってわかりきってるのに」
新谷「いやいや、あとにしろよ。さ、さっさとはじめよう!」
藍田「いいのかな」
新谷「おーけー。やってくれ」
藍田「……これはある遠い未来の日本の物語です。AIが発達し、人間の作業のほとんどを代替できるようになった未来。人間は意思決定をすべてAIに任せ、国を始めとした日本の多くの統治機構もまたAIによって支配されていました。しかし――」
***
ある少数の自治体は未だに人間による統治が行われていた。それは、「AI」に抵抗感を抱く人類の最後の避難場所として機能しており、俗に「
「租界」は全国各地に点在しており、数は
汚れた人間に統治されるぐらいなら
それが人々の声だった。
第三十七人類統治地区。通称「元町租界」。
かつてヨコハマと呼ばれていた地域に存在するこの租界は、人類による統治が粘り強く続けられていた。
これはそんな町の中で起こる物語である。
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