練習

@Kanoooo

写真

 「俺がなんでもするからどういう写真でも撮れるとしたらどういう写真撮る?」

 「天と地が青い場所ってある?」

 「海とか」

 「海は無しで」

 「どうした?」

 「空と大地が青いところに一匹のモフモフな羊を立たせて写真を撮りたいと思って」

 「なんだそれ」

 「イイと思うんだよ」

 「なんで羊なんだよ」

 「牙は無いけど主張してくるあの毛がイイね。他の草食動物であんな主張するのは居ない」

 「青いところでなんでもいいなら水の入ってないプールに羊連れてって写真撮ったらいい」

 「ウユニ塩湖で撮りたいんだよな」

 「そこ行くなら羊でなくて自分を撮ろうよ」

 「いや羊だ。それか体脂肪率50%はある肥満児をウユニ塩湖で撮る。またはグツグツいってるマグマと一緒に撮る」

 「・・・いいなそれ」

 「だろ」

 「撮ったあとは火山の近くでジンギスカンパーティだ」

 「撮った羊で」

 「そう」

 「ハハハハ」

 「ハハハ」

 「可哀想じゃないっすか」

 「だな」

 「ブラックホール撮るわ」

 「スマホで?」

 「スマホで」

 「撮れんだろ」

 「撮れます。撮れないと思ってる? 矮小だ」

 「・・・・・・」松野は何も言わなかった。

 「あー・・・羊撮りたい」

 「そんなに撮りたいなら撮る?」

 「撮れるのか?」

 「撮らせてあげるよ。さあレッツゴー」

 松野は一人芝居で夕焼けに向かって一人走っていった。

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