雪溶け

勝利だギューちゃん

第1話

「何を待ってるの?」

「・・・雪・・・」

「もう、春だよ・・・」

私はあきれながらも、彼に訪ねた・・・


「大丈夫・・・」

「もうじき・・・降りてくる・・・」

「何が?」

「だから・・・雪・・・」

私は、その場を立ち去ろうとした・・・


すると・・・


「あっ、雪・・・」

空から、雪が降ってきた・・・


雪が手のひらに落ちてきた・・・

「・・・冷たい・・・」

まさしく、本物の雪だった・・・


気温は暖かい・・・

とても、雪は降る気候ではない・・・


私は彼に訪ねた。

「どうして、わかったの・・・」

「たいしたことでは、ないよ・・・ただ・・・」

「ただ・・・」

「この雪は、君が降らしたものだよ・・・」

わずかな笑みを浮かべ、彼は去って行った・・・


私は、彼の言葉の意味がわからなかった・・・

いや、「わかろうとしなかった」が、適切だろう・・・


何だか、心の中を見透かされているようだった・・・


最近の私は、辛いことだらけだった。

両親の離婚、恋人との別れ、友達との絶縁、成績の低下・・・

かなりの、フラストレーションが貯まっていた・・・

まさしく、冬だった・・・


「私のこの心が雪を降らしたのか?でもなぜ?」


彼に訪ねようとした・・・でも、怖くて訊けなかった・・・

でも、心が落ち着いた頃に、彼は話してくれた・・・


「この雪は、君の心を代弁してくれている。

でも、雪は熱に弱い・・・

君が、温かくなれば、この雪も溶けて、そして、春が訪れる・・」

「どうすれば、温かくなれるの?」

「それを訊いた時点で、もう雪溶けは、始まっている。

春はすぐそこ・・・」


最近、雪が溶けて川となって・・・


花は咲くだろうか・・・


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雪溶け 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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