暗澹たる自意識の迷路に閉じ込められる。さて、この主人公のように、どうしようもない孤独だとか劣等感だとか、そんな鬱々とした思考...と、幾ばくかの、小雨が降った程度の出来事に気を良くする経験があるだろうか。そんなひとは、たぶん少しは安心するし、諦めもすると思うのです。勝手な感想ではあるけれど、この作品にはそんなレビューも悪くはないのかもしれません。重苦しいのに、ハッピーエンド。淡々と綴られる思考。緻密にとられたバランス。堅実だと思う。あくまで個人的な読了感ですが、広く誰かに勧めたい作品でした。
昨今のラノベ、ラブコメ全盛の時流に真っ向勝負を挑むヘビーな恋愛純文学、略してヘノベです。主人公は、その生い立ちも経歴も現在の境遇も超ヘビー、でも恋してしまいます。同じ教室の女子学生に。最終的に彼は一大決心をして彼女に告白しようとしますが・・・。結末は驚きです。最終的に読後に清涼感が残ります。それ以上書けないのがツラいのですが、このストーリーで読後に清涼感を残せる文章テクニックは尊敬してしまいます。憧れます。