家族


穏やかな

いつも通りの夕食の時間

家族が皆、揃っているが

会話は無い

テレビ番組の司会者がやけに陽気にはしゃいでいて

わたしたちは少し楽だった

家族と沈黙を共有しても

どうしたらいいかわからない

その沈黙を心地良いと思える関係性を

いつか誰かと築けたらいいけれど

それはまだずっと先のお話し

弟が俯き皿に頭を埋めるようにして何かを食べている

曲がった背中

何を考えているのかさっぱりわからない

昔はあんなにお姉ちゃんお姉ちゃんって寄り添って来たのに

穏やかな

いつも通りの夕食の時間

わたしたちの手にはナイフが握り締められている

その気になればきっと何かが起きるだろう


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