真っ白な地図


わたしは真っ白な地図を握り締めていた

つまりわたし自身が歩いてその地図を完成させるということだ

欠陥品だった

「もううんざりなんだよ!」

わたしは真っ白な地図に着火して燃やした

地球温暖化に一層の拍車がかかった

まだまだ旅の途中さ

爆死した愛犬を肩によっこらしょと担ぎながら

道なき道を歩き続けた

犬の舌が垂れて左右に揺れていた

その動きはわたしに神秘の宝の在りかを教えてくれるようだった

そんな気がしただけで実際には違うのかもしれなかった

なんにせよ生きる理由が見当たらないので何かしらの誤魔化しによって歩き続ける他無い


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