夢遊病


わたしは夢遊病だった

夢遊病だったらしいのだ

何故なら覚えていないのだ

全てが終わった朝に告げられるのだ

昨夜の奇妙な徘徊

まるで別人のように聞かされる自分

ベッドの上で

パジャマの裾に泥が付着しているのを不思議そうに眺める

夜になる

殺人者のうろつく街を歩き回る

殺人者は不思議に思う

毎晩、自分たちの横をゆっくりと通り過ぎて行く者が

時折、何がおかしいのかうふふと笑っている

いつでもその人間を殺すことは可能だったが殺すことはなかった


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る