第三次世界大戦


わたしは

日曜日にタンスの角に小指をぶつけて

床でもがいていた

そんなわたしを

父親が牛乳パックに口を付け見つめていた

「彼氏とかいないの?」

お前の顔面を鏡で見てから言え

その遺伝子を忠実に引き継いだ結果

………ああ

神様に祈った時間だけは誰にも負けない自信がある

けど何も起こらない

もしかしたらわたしの頭上には誰もいないのかもしれない

お風呂上りに自分の裸を見て心底、萎えた

確か幼児向けアニメにこんな奴がいた気がする

そいつはビームで燃やされてみんなに幸せが訪れたのだった

「まずは整形から開始しよう!」

努力だ

そのためにはバイトでお金を貯めなくては

明確な目標を持つことによって人生に輝きが出て来た

学校での昼食の時間

グループを作ってパンを食べていた

「パンが可哀想………」

糾弾された

とりあえず今夜も謎のエキスを身体中に塗りたくる

成分は魔の三角地帯で取れたイカ

なんだか凄そう

だが結局、体毛がいっぱい生えただけで終わった

それはわたしの望む結果ではなかった

男たちはわたしと美人を同じ生き物だとは思っていないようす

防災頭巾を被ってうろうろするだけの青春

駅の階段でスカートを押さえたら後ろの人に「ちっ」と舌打ちされた

………神様

わたしって生きていてはいけないんですか?

神様も答えに困っているから何も言わない

みんなクリスマスに死んでしまえばいい

でも死ぬのはきっとわたしだろう

幸せなものはより幸せに

不幸なものはより不幸に

それがこの世界の仕組み

仕方がないから色々なことを諦めて今夜も現実逃避

生まれてから一度もいたことがない彼氏と何気ない会話をして、キスをする


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