調理師学校


わたしはね

自分らしく料理をしようと思ったの

テキストだとか

誰かの言いなりみたいに作るなんて

そんなの嫌だったの

リスに生クリームを詰めて蒸したの

やってみる価値はあるとその時は思えたの

リスは激しく抵抗したの

でもわたしの掌から逃げることは最後まで出来なかったの

先生は苦笑いだったわ

みんなの視線が集まってわたしの洋服のボタンを飛ばした

凄い超常現象が起こった

リスを味見してみたらやっぱり不味かった

まあ多分そうなるだろうなと途中から思っていたことが

そのまま展開された

でも新しいことに失敗はつきもの

それを恐れていては何も出来やしない

幼稚園児たちがわたしの実験を応援してくれている

もっとやれって

どんどん無責任に背中を押してくる

わたしはこの調理師学校に入学して

学生寮に住んで

下着は川で洗って

そしてロックンロールは死んだ

あのボーカリストが旨そうに豆乳を飲んでいる姿を見てそう思った

ある日、教室で猿に似ている同級生に話しかけられた

直前まで本物の猿だったらどうしようって思っていたけど

至近距離で見たら人間だった

仲良くなって話してみるとどうやら猿と人のハーフだということが判明した

一緒に貧乳祭りに参加しようと誘われた

いいよ

けど参加者の中で自分が一番、貧乳ではないと思うのだろう


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