大切なぬいぐるみ
雨は降り続けていた
いつから降っていたのか忘れてしまった
もう思い出せなかった
かつて頭上を占めていた青空
わたしはぬいぐるみを抱えていた
しとしとと降り続ける雨だった
水滴をどんどん吸収して
重くなった
わたしの腕は痺れ始めた
もう限界だった
そう思ったのももう随分、前だった
苦痛が
ぬいぐるみを失う悲しみを上回っただけ
わたしの手から
ぬいぐるみは放り出された
耳を塞げ
そうすればそれが潰れる音を聞かなくて済むから
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