チョコ


チョコバナナでも食うか

おれは思った

欲望に身を任せてチョコバナナでも食ってやるか

早速、準備に取り掛かった

チョコとバナナと

あとは一体、何を用意すればいいんだろうな

首を捻った

「そのポーズ可愛いね」

タケルが背後から話しかけてきた

おれとタケル

それは一つ屋根の下で仲睦まじく暮らしていた

おれは言った

「タケル………チョコバナナに必要なものはチョコとバナナと、あと一体、何だと思う?」

「それだけだろ?」

「ん」

だからおれはチョコを湯煎して溶かした

そして液状になったそれをバナナに塗りたくった

タケルがまたもや話しかけてきた

「おれのチョコバナナも食べてくれよ」

やると思ったよ

おれはうんざりしながら振り返るとタケルは本物のチョコバナナを両手に持って佇んでいたのだ

「え………それどうしたの?」

おれはびっくりした

だってまだ作っている最中だというのに

「忘れたのか? 今日は町内ふれあい活き活きバザーの日だろ? 先月はたい焼き、そして今月はチョコバナナだ」

ああそういえばそうか

おれはタケルからの思わぬプレゼントに顔をほころばせつつも性のいたずらとしか思い浮かばなかった自分自身を恥じた

そしてその晩、北朝鮮の核ミサイルが発射された


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