黒
ぬいぐるみが死んだ
隣りの部屋から声が聞こえた
孫だった
台所でおれの娘が言った
ぬいぐるみは死んだじゃないでしょ?
「じゃあ何て言うの?」
娘は包丁で何かを刻みながら言った
「最初から生きていない場合は何て言うの?」
幼い孫は困惑しながらこっちきてええええと言った
娘は調理に忙しいので仕方なくおれが立ち上がり隣りの部屋へと行った
孫に破壊されたぬいぐるみがあった
頭部から綿がぶりゅぶりゅ露出していた
さてと………
こんな時には何て説明したら良いものだろうか?
娘みたいに答えるのはどうかと思うのだ
最初から生きていない
だなんて
おれは答えた
「脳挫傷だな」
さらに続けた
「お前に叩き付けられて脳味噌が飛び出してしまったんだな、もう助からないし、仮に助かっても重い障害が残るだろうな」
台所から急いで駆けつけて来た娘
どうやらおれは教育には向いていないらしい
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