第2話

教室に戻るとまだ二時間目で授業中だった。

しかも古文。おじいちゃん先生の授業で、この授業好きなんだよね〜。ラッキー。

自分の席につくと隣にいるのは桐山くんなわけでして、さっきあんな事があったから正直気まずい……。わけないよね。

私的にはなんでもいい。桐山くんは気まずいかもだけど。しーらない。おじいちゃん先生の方に集中したいし。


「桐山くん桐山くん、今何ページ?」


小声でこんなことを尋ねれるくらいには気にしてない。

友達によく神経図太いって言われる。


「えっ?!あ、あー……48。」

「ありがと。」


早速教科書を開き、おじいちゃん先生の声に集中する。


***


キーンコーンカーンコーン


「今日はここまで〜。」

「きりーつ、きをつけー、礼ー。」


授業が終わってしまった……。

週3の楽しみが……。

とか言ってる場合じゃない。

誰かにノートを借りよう。途中からしか書けてないし。


「璃乃ーっ!!」

「あ、望帆。」


高校に入って最初に出来た友達の望帆。

おバカでうるさくて私のこと大好きらしい。

昔ヤンチャしてたんだろうなー、時々口が悪い。

あと桐山くんが嫌い。昔の仲間?敵?らしい。

望帆にノートは借りれないな。絶対寝てる。

となるとー……、


「桐山くん……って、いないし……。」

「璃乃 また倒れたんだって?!大丈夫?!」

「望帆うるさい。」


桐山くんの方を向くと既にいなかった。

望帆来たし。桐山くんは望帆のこと苦手だし。望帆に嫌われてるし。

また後で話しかけよ。

望帆は私の机の前にしゃがみこみ、心配そうにこちらを見上げている。

犬っぽい。ねこんだしゅじんを心配する犬っぽい。犬飼ったことないけど。


「大丈夫だよ、いつもの貧血。」

「保健室まで運んだの桐山だったんでしょ?!あいつも遅れてきたし!!何もされなかった?!」

「え?あー、うん。何もされてないよ。」

「何そのビミョーな反応?!」


キャンキャンキャンキャンうるさい。

何もされてないわけじゃないけど、あれは2人だけの秘密にしとこう。

小っ恥ずかしいし。多分、桐山くんを殴りに行きそうだし。


「望帆、シャラップ。」

「っ!!」


口を開けたまま黙る望帆。大分滑稽なんだけど。

指を立ててシーってして、望帆の姿を写メに収める。

あー、段々涙目になっていく。

流石にかわいそうになってきた。


「いいよ、喋って。」

「っぷはぁ!!さっきの璃乃可愛かった!!!」


キーンコーンカーンコーン


またシャラップと言おうとしたらチャイムが鳴った。

望帆は渋々といった感じで自分の席に戻る。

と、同時に桐山くんも帰ってきた。

話しかけたいけど、先生来たし授業が始まってしまった。

仕方が無いのでメモ帳を1枚ちぎり、


『桐山くんへ。

さっきの古典のノート貸してください。(ㅅ˙³˙)♡』


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