第4話

No.4 僕の場合。 相沢 桃



気づけば、好きになっていた。先輩のことを。

クシャって笑うあの笑顔を。

でも先輩には、彼女がいるってわかっていた。

それでもあの人は、誰にでも隔てなく接してくれるから、スキンシップも多いから、ついついちょっかいを出してしまう。

楽しくてたまらないんだ。

それと同時に、辛いけど。


だから、僕のままで偽るんだ。

どうせそのうち卒業していくし。


「おっはよーござーあーす。」

「おー、おはよーももちー」

「もー先輩、やめてくださいよーその呼び方ー。」

「仕方ないじゃん、この部活、あだ名で呼ぶ決まりだから(笑)」


そもそも僕は下の名前で呼ばれるのが嫌いだ。

『桃』なんて可愛い名前。

僕には似合わない。

さらにあだ名が『ももちー』なんて……。

某アイドルグループみたいなかんじで、僕には似合わなさ過ぎて、嫌い。

あんなに可愛くてキラキラしてないから。



「僕そんな可愛いキャラじゃないっすよ。」

「えー、かわいいよ?ももちー。」


……この先輩の厄介なところ。

素で可愛いとか言ってくるところ。

天然タラシ。

勘違いしそうになるじゃないですか。


ボクハ、カワイクナンテナイ。


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