症状5『アルコール中毒』
とても、後悔しています。
なぜ、あんなキケンな物を渡してしまったのか。
自分の好奇心を恨んでいます。
我々は、よくパークを見回りに行きます。
ある日のこと、さばくちほーへ、行きました。
そこに住むツチノコは、我々に珍しいモノを見つけたと、
自慢してきました。
何事かと聞くと、“さけ”というモノを手に入れたと言いました。
我々も勧められたので、いちおう、少しだけ貰うことにしました。
私は、ちょびっとだけ飲みましたが、あまりにも美味しくなかったので
すぐに飲むのをやめました。
けど、助手は、『おいしい』とか言い出したので、
味音痴かと思いました。
私が“これがそんなに美味しいのか”と尋ねると、
『子供ですね』
とバカにされました。
しかし、問題はそこではなく、助手は時折、
ツチノコの元へ出かけるようになり、しまいには、
マズい飲み物が入ったビンを入手したのです。
水を飲むがごとく、それを飲み続けました。
そろそろやめたらと進言しましたが、
『はい、はい』と愛想のない返事をされるだけでした。
最初は、本当にそれだけでした。
ですが。ですが。
暴力を振るわれました。
その時、失望と同時に、心に、深い傷を負いました。
私が泣くのに、殴ったり蹴ったりするのをやめませんでした。
都合の良いことに、彼女は気のすむまで、私をいじめると、
床で寝始め、目覚めたときには、その事実を全て忘れています。
いくら訴えても、『やってない』で返されるだけで、無駄でした。
私は心身疲労、ストレスで、とてもツラい思いをしました。
この繰り返される地獄のループから抜け出すために、必死に考えました。
そこで知恵を求めたのが、かばんでした。
彼女はこのパークのすべてを把握できるボスと唯一会話できる存在。
彼女経由で、“アルコール”をさがしてきてほしいと、ボスに頼んだのです。
そして、手に入れたのは、“しょうどくよう”という
“さけ”とは違う種類の液体でした。
かばんは『こんな物手に入れてどうするんですか』と尋ねてきましたが、
私は適当に『実験に使います』と言いました。
最後に付け加えたように、『絶対口にしないようにしてくださいね』と
彼女は丁寧に忠告してきました。
大丈夫です。口にするのは私じゃないですから。
彼女と、最初で最後の乾杯を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます