平凡すぎる僕の平成最後の夏は一筋縄ではいかないようだ。

都稀乃 泪

プロローグ

真夏の暑い太陽に照らされ、僕は学校へと向かっていた。授業がある訳でも部活があるわけでもない。


ではなぜ、最高気温が30度を超える真夏日の一番暑い時間帯に外を歩いているのかというと今日はがあるらしい。


クラスのいわゆる一軍と呼ばれる人達が勝手に決めた、「展示」をやるらしい。爪楊枝だかペットボトルのキャップだかなんだか知らないけど、それでインスタ映えスポットを作るんだと。

途中仲間割れして「休憩所」とか言ってたくせに。


いかんいかん。そんなネガティブになっていては更に憂鬱になってしまう。

とは言え、休みの日はずっと家でパソコンとにらめっこしてるような引きこもりには、この焼けるような暑さは辛かった。


頭が朦朧としていたのか知らないが、なぜか「平成最後の夏」ってなんか良い響きだな~、なんてそんなつまらないことを考えながら、重い足取りで学校へと向かった。


今年は3年に1度の公開文化祭。だから、僕もすごく楽しみにしていた。


え?じゃあなんで楽しそうじゃないのかって?そりゃあ・・・・・・ねえ。


――たしかに僕だって文化祭に憧れていた時期もあった。けど!けど!少年漫画の中に描かれていた文化祭なんて、現実には起こらないんだよ!

昨年は非公開文化祭だったし、こんなもんなのかな・・・・・・でも、来年は!とか思ってたのにな・・・・・・。


喫茶系での飲食物の提供はダメだし、お金を取るのもダメ。どうしろって言うんだよ(泣)あんなに期待してたのに、期待外れもいいとこだよ。


美少女とぶつかる訳でもないし――そもそも美少女と縁ないしね――、美少女な幼なじみがいる訳でもない――僕の幼なじみはむさい男だ――。生徒会長や生徒会役員が無駄に権限を持ってる訳でもないし、知り合いに超能力者がいる訳でもない。


そんな平々凡々な僕は、ごくごく平凡などこにでもあるような平凡なクラスでどこにでもあるような日常生活を送るんだと、思ってたのにな〜。


・・・・・・どこだろ、ここ。

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