第145話 某大手のオネイロス編④ ステータス

 やれやれと、ため息をつきながら二人について行くと、奥にセルフデバイス機がずらっと並んでいた。

 すげぇ、やっぱ最大手だな……一機いくらするんだこれ?


「まず、こちらのセルフデバイスで認証をしていただきます、IDをこの部分に翳してください」


 俺はセンサー部分に自分のIDを翳す。

 ピッと音がして、画面に俺の情報が映し出された。


「では、次に右上にある『Oneirosオネイロス連携』のボタンをタップしてください」


 言われた通りにボタンをタップする。

 すると、画面にくるくると円形のアニメーションが流れた後、『連携完了』の文字が表示された。


「これでシステムとの連携が完了しました、後は実際にダンジョンへ入っていただき、オネイロスの可能性を実感していただければと思います、操作方法などは敢えて説明を控えさせていただきますが、これは説明の必要が無いほど、直感的なものになっているからです。では、ごゆっくりとお楽しみくださいませ」

 言い終えると、石原さんが深々と頭を下げた。


「なるほどね、じゃあ行こうか?」

「ええ」

「ワクワクしますね」


 装備を終えた俺達は、ダンジョンの中に入った。


「どう? ジョーンくん、何か変わったとこあるかな?」

「んー、今のところ特に……え!」


 ――――――――――――――――――――

 ・ダイバーネーム:タラちゃん

 ・所持DP:*********

 ・本当は凄いブロードソード+999

 ・リフレクトメイル+999

 ・ガイアシールド+999

 ・戦闘計測値:999

 ・ダイバーランク:S

 ――――――――――――――――――――


「や、矢鱈さんの情報がこの辺に出てます! す、凄い! 何これ!」


 目の前に浮かんでいる半透明の文字。

 ん? ダイバーランクって何だ?


「本当だ、ジョーンくんのも出てるよ、紅小谷のも見えるな。へぇ~面白いね」

「ダイバーランクか、なるほどね……」

 紅小谷が感心したように頷く。


「紅小谷も気になった? ダイバーランクって何だろうね?」

「文字の所をタップしてみなさい」

「え?」


 言われたまま、文字をタップする。

 するとヘルプウィンドウみたいな解説が表示された。


 ■ダイバーランク

 政府管理メガサーバー『DEEP SORTディープ・ソート』上にある全ダイバーのデータを元に、S~Dまでの独自ランクを設定したもの。


「なるほど……総合的なランクって事なのかな? DPとかは本人にしか見えないんですかね?」

「そうね、説明をみると、表示の許可も設定できるみたいよ。ほら、フレンド登録者のみに開示とか選べるようになってる」

「すごいなぁ。あ、俺達はもうフレンドになってんだ、へぇ~」


「ジョーンくん、筋トレがかなり効いてるんじゃない? ランクBだってさ」

「ま、マジっすか⁉」

「自分の情報も、意識するだけで表示されるわよ」

「え⁉」


 紅小谷の言うとおり、見たいと思った瞬間、既にもう表示されていた。


 ――――――――――――――――――――

 ・ダイバーネーム:ジョーン

 ・所持DP:258,000(特定口座:4,400,000)

 ・ルシール改+121

 ・ダイバースーツ+70

 ・ファングバックラー+40

 ・探索者のポーチ

 ・戦闘計測値:490

 ・ダイバーランク:B

 ――――――――――――――――――――

  なるほど……。

  良いのか悪いのか、どうなんだこれ?

 

  ちなみに紅小谷は……。

  ――――――――――――――――――――

 ・ダイバーネーム:べにぃ

 ・所持DP:*********

 ・死の大鎌デス・サイズ+256

 ・ゴスメイル+64

 ・嘆きの小楯+128

 ・探索者のポーチ

 ・戦闘計測値:612

 ・ダイバーランク:A

 ――――――――――――――――――――


 前に見た時から、武器の強化はしてないみたいだな。

 うーん、けどやっぱ強いな……。


 倒したモンスの種類とかも影響してるのか?

 そもそも計測値ってなんだ?


 俺は文字をタップした。


 ■戦闘計測値

 各ランクごとに199ポイントの範囲があり、討伐数、討伐モンスの種類、討伐所要時間など独自の指標に基づき算出した値。

 例)

 S 800~999

 A 600~799

 B 400~599

 ……


 へー、これを見る限り、俺は中間って感じか。


 やっぱ、モンスの種類も影響あるんだな。

 ってことは、レイドの経験差でも、かなり影響がありそうだな……。


「おっ⁉ ジョーンくん、これ装備変えられるよ!」

「え⁉」


 見ると、矢鱈さんが自分の装備を高速で交換して遊んでいた。


「す、すごい……更衣室とかいらなくなったりして……」


 しっかし凄いなこのシステムは、どういう仕組みなのかさっぱりわからんが……。


「どうする? どの辺攻める?」

 と、矢鱈さんが壁のマップを見ながら言った。


「んーっと、イベントは……キラー・パプリカ狩り、恐怖のワームホールワールド、白虎降臨、インセクトパーティー、か……」

「あんま気が乗らないわね」

 紅小谷が肩を竦めた。


「じゃあ、普通のルート回ろうか?」

「そうっすね」

「おけおけ」


 俺達は通常ルートを回ることにした。

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