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今日、ユリウス様が出撃なされました。ボルデ(※大陸東部に位置する村。ウール山脈を挟んでテアルタ共和国に隣する)の地に異教徒が攻めこんだそうです。心配はしていません。きっとすぐ終わるでしょう。ただ不満があるとすれば、曾祖母が羨ましい。私はただユリウス様の無事をお待ちすることしかできないのです。手持ち無沙汰に日記を捲っていたらこんな一節を見つけました
「ボルデの地で一晩を過ごす。そこかしこに葡萄がなっていて、町はワインの香り。ヘクトルが酔っぱらって好き放題暴れ、次の日は寝坊。もう二度とあの人には酒を飲ませないようにしましょう」
地図を広げてボルデの辺りの鼻を近づけてみても、インクのにおいしかしません。私はきっと、マントについた汗と草木、靴にしみ込んだ泥と血のにおいであの方が見た景色を想像するしかないのです。それが待ち遠しくも妬ましい。これくらいにしておきましょうか。
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