『Aの日記』 

灘田勘太

上巻

4-1

 日記書け、というのは矛盾してると思うのです。だって日記は徒然なるままに、己の心に任せて書き綴るものでしょう? なんのためにですか、と伺えばそういう決まりだからと言われました。なにを書けばよいのですか、と問えば好きなことを書きなさいと返されました。だから私は、こうやって怖れ多いことも正直に記しましょう。それが私に与えられた仕事だから。

 各人は自分が真理だと思うことを語ろう、

 そして真理それ自体は神にゆだねよう。

やっぱり矛盾してますね。それでもいいですか。

                                     A

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