第4話

子供のいないおじいさんとおばあさんは

赤子を「桃太郎」と名付けて、大切に育てました。


桃太郎はすくすくと育ち

おじいさんとおばあさんを助けました。

農作業を一手に引き受けた桃太郎のその体は、鍛え上げられた武士のように引き締まり、立派でした。


桃太郎が15歳になったある日

おじいさんとおばあさんは

桃太郎に話をしました。


「お前には、やらなくちゃいけないことがあるんだよ」


おじいさんとおばあさんは

桃太郎が生まれた時の話を初めて聞かせました。

膝の上の拳を強く握り

ぽたぽたと涙を溢しながら聞く桃太郎の背中を、おばあさんがさすりながら言いました。


「長州に、偉い先生がおられるそうじゃ。

その方に教えを乞い、討つ機を待ちなさい」


桃太郎の前に

一振りの長刀と、綺麗な織りの巾着に入った団子が置かれました。



翌日

真新しい着物を着て、刀を脇に差し

凛々しい姿で旅立つ桃太郎を、おじいさんとおばあさんは誇らしく思いました。




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