桃太郎かもしれない。
ぴおに
第1話
昔々、あるところに…
おばあさんが川で洗濯をしていると
川上の方から、何か流れてきました。
どんぶらこ、どんぶらこ
おばあさんが、なんだろう?と訝しげに見ていると
それは、すーっとおばあさんのいる川岸の方へ流れ着き、浅瀬で止まりました。
おばあさんは洗濯の手を止めて
それに近づいてみました。
白く、桃のような割れ目があり
ところどころがぶつかって朽ちています。
抱えられないほど大きく、少し持ち上げてみましたが、重くて動かすことはできませんでした。
「はて、なんじゃろう?」
おばあさんは目の前の藪のなかで柴を刈っているおじいさんを呼んできました。
おじいさんがそれをよいしょと押して転がしてみると
大きく朽ちた部分に穴があいていて、中が見えました。
「こ、これは…」
「ひゃー!」
おじいさんとおばあさんは、水の上に尻もちをつきました。
穴の中には何やらグニャグニャとした塊と
周りには骨のようなもの…
これは骨格、肋骨でした。
おばあさんが見つけたそれは
桃ではなく
大きなお腹の下半身
妊婦の下半身だったのです。
脚と胸から上を斬り落とされていました。
おばあさんは咄嗟に思いました。
赤子は、赤子は死んでいるのか?
尻もちをついたまま動けないおじいさんに言いました。
「赤子は生きとるかもしれん」
「なんじゃと?!」
「腹を…斬ってみる」
「なんてことを!無理じゃ、きっと死んどる、酷いことはやめるんじゃ!」
「生きとるかもしれん。それなら出してやらんほうが酷い」
「わ、わしには出来ん!」
「私がやります」
おばあさんは落ち着いてそう言うと
包丁を取りに家へ帰りました。
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