割れたステンドグラス

天音川そら

1

 それは夢。

 幼い日にみた、かけがえのない夢。


 少年は薄暗い地下通路を歩いた。ゲームで見かけた光景は、少年の冒険心をくすぐった。

 壁に描かれた模様は少年のもの。描いた覚えはないが、これから描くような気がした。

 やがて、開けた空間に出た。柱だけが並ぶ寂しい空間。

 少年の足は止まらない。

 

 一番奥の左から三つ目の柱

 

 誰から聞いたのか。

 少年はそこに宝があることを知っていた。


 そして、彼らは出会った。

 形のない割れたステンドグラスを修復する者と、その光景に憧れる者。


 退屈なのは今だけ−−

 ステンドグラスをみた少年は、果てしない未来に夢をみた。

 ひとつのステンドグラスを直した若者は、果てしない未来に自信をもった。


 そして彼らは授かった。

 少年は冒険を地図を−−

 若者は新しい割れたステンドグラスを−−


 この日、彼らは確かに宝を手にいれた。

 彼らは互いに誓った。次なる宝を手に入れることを。

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