ハハハ

@Kanoooo

第1話

 奈須火と急利は登校途中だった。

 奈須火が空を見上げる。「最近夢で知らない生き物が現れてそれと喋ることがあるんだよね」

 「それは思春期症候群だな」

 「えー。病気なの?」

 「うん」

 「ふーん」

 「ナニ喋んの?」

 「明日はこういうことが起きるとか」

 「予言者にそういう人居たよな」

 「俺の場合は全然予言ってほどじゃないよ」

 「どういうの?」

 「明日の給食はカレーライスだとか3限目に先生がチョーク折るとか」

 「しょぼ」

 「うるせええええっ」

 「分かった分かった。どういう形してんのその生き物は」

 「腕が6本あって身体が半透明で輪郭だけある」

 「俺宇宙人は存在するって信じててさあ。火星人は確実に存在するよマジで。前世は火星人だった記憶があるって他人が居るんだよ」

 「じゃあ俺が見たのはそれか」

 「火星人は身長が2メートルくらいあるし人型だよ」

 「じゃあ俺が見たのは何なん?」

 「奈須火の幻想」

 「うるせあああっ」

 「分かったって。というかその予言は当たんのか?」

 「当たるよ。あの人は正直者だから」

 「へえ」

 「そう言えば急利に貸した100円返ってきてない」

 「いずれ返す」

 「嘘ばっかだな」

 「・・・・・・。はあ・・・。他人を信用しないなんて可哀想」

 「・・・・・・」

 「お前だって昨日教科書忘れたって言うから貸してあげたじゃん」

 「・・・・・・」

 奈須火は昨日夢を見た。

 彼の自室に奈須火と生き物は居た。

 「明日急利は死ぬよ」生き物は奈須火にそう伝えた。

 「そんな」

 「明日急利は死ぬ」

 「どうして」

 「事故で死ぬ」

 「防ぐにはどうしたらいい?」

 「ないよ。そういう運命だから」

 「そんな・・・」

 生き物が部屋の扉を開け急利を引きずって中に入れた。

 猿ぐつわと鎖で口と身体を縛られた急利を見る奈須火。「・・・急利。お前明日死ぬのか?」

 頷く急利。

 「避けられないのか?」

 「目が覚めたら今の事忘れちゃうしな」生き物が奈須火に伝えた。

 「そうか」

 「明日の登校中に事故に合って死ぬみたいよ」

 「へー・・・」

 泣き出す急利を見たあと奈須火を見る生き物。「一応言っとくけど守ろうなんてしたらダメだぞ。そんなことしたら奈須火が死ぬ」

 急利が泣きながらイモムシの動きで奈須火にすり寄る。助けてくれと奈須火に動きで示した。

 「助けるよ。友達だから」

 そこで奈須火は夢から目覚めた。

 思い出し終わった奈須火は赤信号で止まった。渡るのは奈須火と急利のみ。青になった。急利が前を行く。自動車が突っ込んで来た。奈須火は急利の襟を掴んで後ろに引っ張り避けさせる。自動車から刃物を持った男が襲ってきた。奈須火は鞄から通販サイトのタイムセール中に買った防刃手袋をはめ熊手突きで犯罪者を倒す。二人が犯罪者から逃げていると地震が起きた。その揺れで建物のガラスが降ってきた。奈須火は怖かったが手で自分と急利の頭を防御した。ガラスは二人の真横に落ちた。二人は生きた。

 後日。奈須火は夢で生き物と出会った。「俺たち二人とも生きたよ」

 「だろうね。死ぬなんて嘘だから」

 「なんでそんなことを」

 「サプライズ。イェア」

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