(過激描写注意)vs 機動城塞セイントβ

 眞白を仲間に加えた龍野達は、今日も今日とて戦場に繰り出していた。

『戦況は劣勢らしいな』

『そうね』

 シュヴァルツリッター・ツヴァイに搭乗した龍野は、エリアを散策しつつもヴァイスと連絡を取っていた。

『もっとも、俺達は別だけどな。これだけの戦力があれば、巻き返すのも容易だろう』

『その通りね……と言いたいところだけれど、龍野君』

『何だ?』

 ヴァイスはひと呼吸置くと、龍野にはっきりと告げた。

『過信してはダメよ』

『だな。ところで……』

『ところで?』


『どうしてこの狐耳バアさんは、俺にしがみついているんだか? っておいこらっ、胸を触るなスケベバアさん!』


『さあ……』

 ヴァイスは奇天烈な眞白の言動に、ただ戸惑っていた。


     *


「こやっ、こやっ、こやっ! こりゃあ凄いのう、男が惚れそうな大胸筋だわい!」

「こらやめろ、イメージが乱れちまう!」

 その頃、シュヴァルツリッター・ツヴァイのコクピットでは、いつの間にか忍び込んだ眞白と龍野が攻防を繰り広げていた。

「くっ、このっ……うひゃひゃ、くすぐったいってのバアさん!」

「ほれほれ~、どうじゃどうじゃ?」

「くっ、ちょ、落ち……ぐっ!」

 イメージをかき乱された龍野は、シュヴァルツリッター・ツヴァイの制御を喪失して墜落する。

「いい加減にしやがれバアさん!」

「こやっ……!」

 力づくで眞白を引き離した龍野は、周囲の様子を確認する。勢いで眞白がのびてしまった。

「クソッ、落ちちまった……ッ!?」

 気配を察知した龍野は、反射で後方に機体を跳躍させる。


 直後、シュヴァルツリッター・ツヴァイのいた箇所をレーザーが通り抜けた。


「こいつ……!」

 素早く大剣を向け、光条ビームをレーザーの発射源に放つ。

 爆風が起き、発射源は沈黙した。

(……やったか。にしても妙だ。奇襲が横行してやがる。なりふり構ってる暇じゃねえ、ってか……?)

 機体を跳躍させようとする龍野。


「待つニャ!」


 と、奇妙な声が聞こえた。

「誰だ!?」

「わたし達のロボットを壊しておいて逃げられるニャどと、思わニャい事ニャ!」

 若い女性の声。

 しかし、一部の音がの鳴き声となっていた。

「となると、どういうこった?(まあ察しは付くが……)」

 すっとぼける龍野だが、この後の展開を察していた。


「決闘するニャ、須王龍野に“シュヴァルツリッター・ツヴァイ”!」


 声は高らかに、龍野に決闘の同意を求めた。

「ああ、引き受けるぜ……!」

 龍野もまた、決闘に同意した。

「ただいま、J陣営の“須王龍野並びにシュヴァルツリッター”と、♠陣営の“機動城塞セイントβ”との決闘が成立いたしました。繰り返します。ただいま、J陣営の“須王龍野並びにシュヴァルツリッター”と、♠陣営の“機動城塞セイントβ”との決闘が成立いたしました。これよりカウントダウンを開始いたします。5, 4, 3...」

「速攻で叩き潰す……!」

「来るニャら来なさい……!」

「2, 1, 0! 決闘開始!」

「行くぜ……!」

 素早く駆け抜けた龍野は、大剣を構えて肉薄する。

「行け、我がしもべ達よ……!」

 と、別の声が響いた。男の声だ。

(2人乗りか……!)

 龍野は瞬時に見抜くと、小型ロボットの排除を始めた。

「はああっ!」


     *


「……ん? こやぁっ!?」

 目覚めた眞白は、すぐ近くを通り抜けた(実際はコクピットに映った映像だが)を見て腰を抜かす。

「バアさん! 俺にしがみついてろ!」

「わ、わかった……!」

 龍野が機体を操りながら、眞白に動かぬよう指示する。

「そこか……!」

 10体目のロボットを破壊する龍野。

『まだしもべは尽きぬ……! 行け……!』

 だが、もう10体が生成された。

「チッ、まだ出てくんのかよ……!」

 龍野が毒づきながら、高度を上昇させてビームを連射する。

『ダメ……! 龍野君、地上に降りて……!』

 と、ヴァイスからの念話が響いた。

『……!?』

 龍野がセイントβを見ると、胸部装甲が展開していた。

「しまっ――」

「任せろ!」

 と、眞白が体を前に出した。


 その直後、電磁爆撃が直撃した。


     *


「ふふん。効いたかニャ?」

 セイントβの中では、白猫と黒犬が機体の操作を行っていた。

「これを直撃されれば、流石にただじゃ済まニャいはず――」

「いや、違う」

 得意気に語る白猫を、黒犬が制した。

「見てみろ」

 黒犬が促す。


 そこには、がいた。


ニャにっ!?」

「覚悟を決めろ、レイツー。七分間は同じ事が出来ない」

「わかったよ、ゼロツー」


     *


「こやっ、こやっ、こやっ! どうじゃ、儂の魔力は! 見直したであろう!?」

「すげえな、バアさん……」

 シュヴァルツリッター・ツヴァイの中では、自慢気な眞白がいた。

「全くもう、肉体の割にはひ弱じゃのう。お主」

「悪かったな。だけどお陰で助かった……ぜっ!」

 シュヴァルツリッター・ツヴァイが剣を構え、疾駆する。

「魔力のサポートを頼むぜ、バアさん!」

「言われなくても、当たり前じゃろう!」

 眞白の魔力により、シュヴァルツリッター・ツヴァイが白く輝き始める。

『龍野君、肩関節を狙って!』

 更にヴァイスからの指示も来て、龍野は明確な攻撃方法を見つけた。

『おうよ!』

 一気に距離を詰める。

「護れ、しもべ達!」

 だが、セイントβもただ突っ立っているだけではない。

 ドリル型の装備を有する小型ロボットが、シュヴァルツリッター・ツヴァイに突進する。

「無駄なことを。こやっ、こやっ、こやっ!」

 しかし、龍野の意思とは無関係に右側の腕が伸び、小型ロボットを貫手で破壊した。

「後ろの腕二本、預けてもらうぞ。お主」

「構わねえよ、バアさん」

 そして限界まで肉薄したシュヴァルツリッター・ツヴァイは――

「ここだな!」

 両手の大剣で左右それぞれの肩関節を切断した。

「ぐっ!」

「ニャっ!」

 大剣を戻し、胸部と腹部にそれぞれに突きを見舞う。セイントβは体勢を崩し、動けない。


 ガヅンという音が響いた。


「決闘終了。勝者、“須王龍野並びにシュヴァルツリッター”。繰り返します。勝者、“須王龍野並びにシュヴァルツリッター”。これにより、J陣営に1のアグニカポイントが付与されました」

 どうやら、今の一撃で”ベル”を破壊したらしい。

『終わったな。いい戦いだったぜ』

 龍野はレイツーに、機体越しに健闘を称える。

『ふん! 覚えてニャさい!』

『撤退するぞ』


 拡声器から、二匹の声が漏れ聞こえる。

 と、セイントβは変形し、空を飛んで逃げ去って行った。


「さて、大変だったぜ……。ところでバアさん」

「何じゃ?」

「ありがとな。助かったぜ」

「そうじゃろう? もっと褒めてもよいのだぞ! こやっ、こやっ、こやっ!」

(やっぱりやめとくべきだったか……ん?)

 龍野が内心で嘆息すると同時に、レーダーの光点を見つける。


 そこには、新手の正体不明機アンノウンがいた。


 と、アナウンスが響いた。

「ただいま、戦争開始から48時間が経過いたしました。繰り返します。ただいま、戦争開始から48時間が経過いたしました」



作者からの追伸


 有原です。

 今回はヴァイスの妄想に、電波ジャックされちゃいます。


     *


 龍野君が私の肩を掴み、ベッドへ押し倒す。

 そして私の顔を覗き込み、唇を奪った。息苦しさに、思わず龍野君の体にしがみつく。

 私の意識が朦朧としてきた頃、龍野君は唇の自由を許した。

 けれど、息をつく暇は無い。龍野君が私を、するりするりと剥き始める。

 そして手袋と靴下以外を脱がし終えると、私の上に覆いかぶさった。

 目に涙がにじみ始めるけれど、龍野君は手を止めない。

 私の果実をつかみ取り、存分にむしゃぶりつく。正面で見るとなかなか言葉にし難い光景ではあるけれど、何となくほわんとした気持ちに包まれる。

 龍野君が果実から口を離すと、再び唇を奪いながら、熱を押し当ててくる。

 そのまま彼の“けだもの”を、飲み込まされた。


 勝手に声が、口から解き放たれようとしている。

 それでも龍野君は、私の事など気にしない。遠慮会釈なく、私を貪っている。

 いくら懇願しても、彼の意識は私の意思を読み取ることが出来ない。徒労であった。

 彼に貪られる事によって、私はどうあっても“女”である事を意識させられた。

 もう、声を我慢できない。どうしようもなく声を上げると、龍野君は一層私を貪った。

 けだものを一番深くで受け止めた私は、意識を失いそうになる。



 そして、龍野君のけだもの咆哮ほうこうする。

 迸る情動。

 甘やかな熱が、じんわりと私を満たした。



 龍野君は一区切りついたのか、私をきつく抱きしめる。

 私もまた、龍野君を抱きしめ返した。

 けれど、これで終わらないのが私達。案の定、龍野君は再び動き始めた。


 こうなったら、龍野君はけだものを思うがままに操るだろう。

 どれだけ涙を浮かべても、どれだけ龍野君に懇願しても、そして意識を失っていても――龍野君は、私を求め続ける。


 ああ、何度私は、龍野君を刻み付けられるのだろう……。

 そう考える間もなく、私は意識を喪失した。


     *


 はい、ヴァイスの妄想はここまでです。

 次は「ハーゲンとネーゼ様(における二人)」となります。ちなみに妄想しているのは、ネーゼ様でございます。


 え、いいから特別放送の続きをって?

 しばし待てッ! 今自衛隊が出動する自体にまで発展して、中継どころではないッ!

 まったくあいつら、どれだけ山口県を騒がせれば気が済むのだ……ッ!(なお避難中の混乱における少数の負傷者を除き、死者はゼロの模様。まったく、模範的なのか否なのか、どっちかにしろ……!)


 というわけで、今回はここまで!

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