男の人に触られるのが好きだ。そして、同時に嫌いでもある
男の人の手って、いいな、と思う。
温かくて、皮膚が分厚くて、指が長くて、私の手とは全然違う。
その手で優しく撫でられると、喉から猫みたいな甘い声が出てしまう。
……でも、乱暴にされるのは嫌いだ。
昔は、好きだったのかも? しれない。 首を絞められながらされると、くらくらして、それが気持ちいい、と錯覚したこともあったし。
「嫌だっていうけれど、気持ちいいんだろう?」
耳元でささやかれて、ひゃん、と声が出た。私は耳も弱い。
「お前が誘ったんだよ」
誘った。……誘った? 誘った? のかな。 そうなのかな。
わからない。
もう、7年間、整体や按摩、鍼治療などで男の人に触られることはあっても、直截的に性交渉っぽいことをしたことはない。
最近は痴漢に遭うことも少なくなった。
夜、出歩かなくなったこと。コロナの影響、あと、障がい者マーク(十字の赤い奴)を付けているので、かえって表立って手を出しづらくなったのかもしれない、と思う。
それでも、駅員を呼ぶボタンや非常口は必ず確認してしまうし、貴重品やスマホは手の届くところに置いておく癖がついている。
同意の上なら、どんなことをされても今更構わないんだけれどな、と思いながらも、それでもやっぱり 怖いものは怖いな、とも思う。
惹かれるけれど、怖い。怖いけれど惹かれる。
男の人はなぜ、女性を乱暴するんだろう。危ない目に遭わせたりするのだろう。
私は女だから、男心がわからない。
けれど、私がやったこと。
たとえば、コンビニでバイトしているときに際どい本を男性のいるレジではなく私の方にわざと持ってきたサラリーマンがいたとき、360円のその本を「400円です!」と言って多く金を払わせたりしたことがあった。(不快だったし、自働レジじゃなかったのでそういうことも可能だった)
そうしたら隣のレジで働いていた男の子が
「駄目だよ、真世さん。それ、ご褒美に思うやつもいるからさ……」と言ったので仰天した。
……やっぱり男の人の考えることはよくわからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます