太陽は無くならない

@rinnku

第1話 始まり

 あの頃の俺は、学校にも行けず人と関わることを恐れていた。そんな僕を変えてくれたのは間違いなく、彼女だった。

 「おはよう」担任の藤岡だ。「大倉、調子はどうだ?」「ぼちぼちです」6月で梅雨だっていうのに、みんなお前みたいにいつも調子に乗ってねえんだよ。そう思いながら足早に立ち去る。俺が通っている明峰高校はもともとヤンキーだらけの学校だったが、25年前、理事長が変わってから野球に力を入れ、10年前には甲子園出場を果たし、今では甲子園の常連となっている。そして、俺が通っている、特進コースは15年前に新たに創設され、今では毎年東大に何名か合格するまでになった。

 なぜ俺が今、明峰に通っているかというと、俺はもともと中高一貫校に通っていたが、中2の5月に父親を交通事故で亡くしてから、落ち込んで1か月ほど学校を休み、それから学校に戻れなくなり、いわゆる不登校になった。中高一貫校なので内部進学をすることもできたが、進学しても学校に通える自信もないためもう一度受験し直し今の高校に通っている。

 教室の前に着くと、何人かの生徒が集まって話していた。俺は横目でそれを見ながら自分の席に着く。(ああいうのは苦手だ。何を話したら良いのか分からないし、そもそも何が楽しいのかも分からない。)授業の準備をしていると、藤岡が入ってきてホームルームが始まる。その後、3つ授業を受け、4時間目は体育のためグラウンドに移動する。この移動がとても苦痛だった。なぜなら入学してからのこの2か月、話しかけられてもドキドキしてうまく話せずそのうち口が動かなくなり、無視したと思われるようになり、相手からもあまり話しかけられなくなったからだ。ほかの人たちは楽しそうに廊下を歩く中、一人で廊下を歩くのはしんどかった。そのうちまた学校に行きたくなくなった。でも頑張った。中学校の時みたいになっては駄目だと。

 しかし、7月に入りついに行けなくなった。担任の藤岡は何回も家まで来てくれたが、気持ちが学校に向くことはなかった。そして、母親と話した結果、通信制高校に行くことを決めた。ただし、週に1回は学校に通うという条件付きで。

 いろいろと調べてみた結果大学受験向けの授業もある創生高校に行くことに決めた。しかし、その創生高校は東京にしかキャンパスがなく、家からだと電車で3時間ほどかかるので寮に入ることも考えたが、さすがに厳しいので当面の間は、家から通うことにした。

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