秋風

勝利だギューちゃん

第1話

そろそろ、秋の足音が聞えてきた・・・

木々は、その葉を赤く染め始めている。


僕は、秋が大好きだ。

とても、過ごしやすい・・・


窓を開けると、キンモクセイの香りが漂ってくる。

近くにあるようだが、詳しい場所はわからない・・・


天気もいいようだ・・・

散歩に出てみるか・・・


そう思い外へ出た・・・


近くの河原に行ってみる。

お弁当を食べているグループを、何組が見つけた・・・

(この時期は、食べ物が美味しいからな・・・)

それを、横目に見ながら、先へ進んだ・・・


すぐ近くには、学校がある。

僕の通っていた、母校・・・


この地方には、学校がここしかない。

幼稚園から高校まで、エスカレーター式・・・

なので必然的に、殆ど同じ人と、12年以上も過ごす事となる。


となると、殆ど家族や兄弟みたいになる。

その関係は、大人になっても続く・・・


なので、知らない人のほうが、少ない・・・


今、歩いていても、多くの人に声を掛けられた。

家族同然の関係なので、敬語はない。

老若男女問わず、タメ言葉が普通になっている。


「やあ、久しぶり」

不意に声をかけられる。

「なんだ、君か・・・」

見知った顔に返事をする。


「なんだとは、失礼ね。久しぶりに会ったのに」

「昨日も会っただろ?」

「そうだっけ?」


この地方では、時間がゆっくりと進む。

なので、この地方で1日会わない事は、他の地区では、1週間会わないのに等しい・・・


この地方では、みんなが仲良しだ・・・

喧嘩なんてものはない・・・


そして、この地方は隔離されている・・・

良くも悪くも・・・


この地方にも、秋という季節は到来する。

だが、この地方では、「秋風が立つ」という言葉は存在しないのだ。


なので、誰も知らない・・・

出戻りの者以外は・・・


なので、持ち込まないでおこう・・・

これからも・・・

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秋風 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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