誕生日
ゆううつだ。胸がぞわぞわする。
私は今年で、今日で、18になった。
18とは言っても、高校は入学から1ヶ月も通わずにやめてしまった。
その後は何もない。ただただ家でパソコンと顔を睨み合せてばかりだ。
私は元来、誕生日というものを素直に喜べない人なのではないかと思うのだ。
ネットでは中学の知り合いに「おめでとう」だなんだと一言二言言われて、私も「ありがとう」をおちゃらけて返す筈なんだけども、その実、気分はせわしなく、暗いのである。
今日に限っては、「変化」などという私が普段から面倒だと感じ避けているものに1日の間、否応なくその気配を感じさせられ続けるのだ。やめて欲しい。たまったものではない。こんな日はごめんなんだ。寒気がする。
いろいろ考えてしまう。この歳で勉強もせず働きもせず他人との交流も薄いなんて、いよいよ、だめだ。
これでも私は見栄を張る方で、このままでは従妹へのお年玉も払ってやれないのである。もう子供ではないのだと自分に言って聞かせるがいつも聞かせるだけになってしまう。
落ち着かない。変化の気配のせいで。
気が沈む。やるせない自分に。
誕生日なんて嫌いだ。浮かれてなどいない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます