チョコ色の雨

 神様はチョコを食べながら、水がたっぷりと入った容器を装置にセットした。それは人間たちが住む地上に雨を降らせるための装置だった。

 スイッチを入れようとした時、神様の口からチョコがこぼれ落ち、容器の中に入った。

 だが、神様は気付かずにスイッチを入れてしまった。チョコが溶けた水が雨となって地上に降り注いだ。

 甘い匂いを放つチョコ色の雨が降り注ぎ、人間たちは戸惑った。

 しまった、と神様は焦ったが、後の祭りだった。一度容器をセットすると、中の水がなくなるまで装置から取り外せない仕様になっていた。

 しばらくの間、チョコ色の雨が地上に降り注いだ。その結果、海や湖、川、池などが茶色く濁った。また野菜や果物なども大半が売り物にならなくなった。チョコ色の雨を浴び続けた影響で糖度が急激に高まり、甘くなりすぎたからだった。

 神様はカミさんに叱られ、しばらくの間、チョコを食べることを禁止されたのだった。

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