アースウイルス

 地球は人間が土地を荒らし、建築物を構築していくことに腹を立てていた。なぜちっぽけな人間に体を傷つけられねばならぬのか。人間のせいで温暖化が進んでいることも許せなかった。もう我慢の限界だった。

 体力を激しく消耗してしまうが、地球は防衛機構を発動する決心をした。精神力を高めた後、地球は防衛機構を発動する。その瞬間、酸素と地球が独自に生み出した唯一無二のウイルス"アースウイルス"が結合した。人間は呼吸をする生き物である以上、その脅威からは逃れられない。酸素を体内に取り込むと同時に"アースウイルス"が全身に行き渡って死に至るのだ。

 防衛機構が発動した直後に地球の各地で人間が次々と死んでいった。瞬く間に死体の山が築き上げられる。死臭に引き寄せられた動物たちが死体を貪っていく。"アースウイルス"が効力を発揮する対象は人間だけだった。他の動物は死に至ることはない。人間が土地を荒らし始めた時に生み出した対人間用のウイルスだったからだ。

 僅か数秒で人類は絶滅し、地球で生まれた人類は地球によって終わりを迎えた。

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