人間鍋

 私は鍋に妹の血をたっぷり入れて火にかけた。

 火にかけている間に、ボウルに脳味噌と生姜を入れて練り込んでいく。練り終わると、脳味噌を団子状に丸めて鍋に次々と放り込んだ。肉団子ならぬ脳味噌団子だ。

 下手くそな口笛を吹きながら、右腕をブロック状に切断すると、ミキサーに放り込んでミンチ肉にする。それから皮膚を薄くスライスし、ミンチ肉を包んで餃子っぽくした。出来上がった人間餃子を鍋に放り込んでいく。 

 さすがに一度に全部は使い切れないから、残った部分は冷蔵庫に保存した。

 脳味噌団子と人間餃子に火が通るのを待つ間、キッチンに置いた妹の頭を眺めた。妹の顔を見ながら食事をしたくて頭だけ残しておいたのだ。

 今日は私の誕生日だった。妹は自身の肉体を私にプレゼントしてくれたのだ。前に人間を食べてみたいと呟いたことを覚えていたのだろう。

 火を止めると、おたまで脳味噌団子と人間餃子を掬い取って茶碗によそった。妹の顔をじっと見つめながら、脳味噌団子を頬張った。脳味噌の食感に加え、生姜がよく利いていて美味かった。続いて人間餃子を頬張った。肉の旨味が口の中に広がる。皮として使用した皮膚もなかなか良い食感だった。

 妹の血も茶碗に入れて飲んでみた。鉄のような味の中に肉の旨味成分が染み込んだかのような美味さだった。

 あっという間に鍋を食べ終えた。久しぶりの鍋ということもあり、大満足だった。素晴らしい誕生日プレゼントをくれた妹に心から感謝した。

「ありがとう、大好きだよ」

 私は微笑むと、妹の頭を両手で掴んで思いっきりディープキスをした。

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