隠居魔王の成り行き勇者討伐 倒した勇者達が仲間になりたそうにこちらを見ている!
@Kanoooo
第1話
魔王ことオカヤマは山奥に隠居していた。
日の出と共にオカヤマは起床した。歯を磨き顔を洗い家から出る。準備体操をして朝の散歩に出かける。散歩途中に足を踏み外し急斜面を転げ落ちて倒れた。すぐに立ち上がり周囲を見渡す。誰も居ない。普通に歩く。幼女を発見した。遠目で見ても幼女は人間だと分かった。「人間国って開国したんだっけ? いやしてない」近づくと幼女は泣いていた。傷だらけだった。オカヤマは可哀想だったが足先で幼女を蹴った。「おい大丈夫か?」
幼女は無視した。
「おい」
「お腹減った・・・」
「ならウチにくるか?」
「知らない他人には着いてっちゃ駄目って教わった」
「傷だらけじゃん」
「お前弱そうだしヤダ」
オカヤマは嫌がる幼女の手首を持って引きずって行く。銃弾がオカヤマの肩に当たる。本能で魔法を使った。時間が止まる。汗だくになりながら撃ってきた方を見た。人間の兵士十名がオカヤマ達に向けて撃ちまくってる所を視認する。入れ替えで別の魔法を使った。バリアを張った。弾は弾かれた。兵士達は銃で駄目だと分かると銃口を自分の頭に向けた。
「ににに人間国万歳」
兵士は全員自害した。
「・・・いったい彼らは何だったんだ」
三日後。オカヤマは起床した。
幼女がベッドの横に居た。「三日寝てた」
「時間を止めたから」
「時間を止めると三日寝るの?」
「うん。お腹減った」
「おかゆ作った。水汲んできた」
「サンクス。撃ってきた兵士はお前を狙ってたのか」
「うん。人間国から逃げた私が次世代の勇者候補だったから」
「それでか」
「あんた魔物でしょ」
「人間だよ」
「うそ。尻尾が付いてる。私が勇者候補って分かって怒った?」
「いんや」
「どうして怒らないの?」
「現魔王が聞いたら怒ってるね」
オカヤマがお粥と水を飲み込んだあと山の中でかくれんぼをして遊んだ。
日が沈む頃。
「ぎゃーす」
オカヤマは悲鳴を聞いた。走ってそこに向かうと幼女が倒れていた。その側に立っている全身鎧の人間。
「グッバイ」男は手を振る。
男の背中には『勇者』という刻印があった。勇者はアメコミのヒーローのように靴からエネルギーを放出して飛んで去っていった。
オカヤマは幼女に近寄る。外傷はなかったけど脈がない。
「幼女起きろ」
幼女の顔を叩くが反応がなかった。後日。オカヤマは人間国を目指して旅を始めた。
オカヤマは魔物国のとある街に来ていた。路上でギターを弾くおじさんに近付く。「おじさん。ここから人間国に向かうにはどっち行ったらイイ」
「あんた幾ら持ってる」
「100イェーンなら」
「3000イェーンで教えてやる」
「100イェーンじゃ駄目?」
「なら今からコイントスをしよう。俺が負けたらタダで教える。俺が勝ったらお前は内臓を売れ」
「ああ分かった」
おじさんは弾いて落ちたコインを手で掴む。「どっちだ」
「表。俺の勘がそう言ってる」
おじさんは手を開いた。コインは裏だった。
「あーーもーーー!!」
おじさんがギターを振り回して来たのでオカヤマは逃げた。
「はあ。はあ。冗談じゃなかった。危ない他人だった」
「にににいちゃん」
人が一人通れる細い道で後ろから声をかけられた。「なに」
「うううし後ろがガラ空きだ」
魔法で攻撃された。悲鳴をあげるオカヤマ。
「ここここれ以上痛い目に遭いたくなかったらお金をください」
オカヤマが100イェーンを渡したら怒りの追撃魔法をもらった。
悲鳴をあげるオカヤマに攻撃の構えで迫る怯える他人。「ふふふざけてんのか」
「ほんとに100イェーンしか持ってません(泣)」
怒りの追撃魔法をくらったオカヤマは気絶した。目覚めると夜だった。100イェーンはフトコロに在った。ギャンブルでお金を増やそうとしたら店側から入店を断られた。その場で出会った他人が飲食店に連れていってくれたのでやけ食いした。美味しかった。奢ってくれた他人に頭を下げた。「ナカジョウさん。この恩は必ず返します」
「いいよそんなの。俺がカッコつけたかっただけだから」
「ナカジョウさん・・・」
オカヤマは働いた。ナカジョウは借金をしていた。それで切迫していた。なので得たお金をナカジョウに渡した。ナカジョウは渡されたお金を賭博に使ったがオカヤマは何も言わなかった。それから事あるごとにナカジョウはお金をオカヤマに要求した。オカヤマは与え続けた。月日が過ぎそして決断した。
「ナカジョウさん。俺そろそろこの街を出ていく」
「え? なんで?」
「ついつい長居したけどすることがあって旅をしてるんだ」
「そんなあ」
「・・・・・・」
「どうしても行くのか?」
「・・・うん」
ナカジョウは座っていた石段から立ち上がる。「それじゃ内臓くれよっ」
「え?」
「きしぇぇぇえ」ナカジョウが発散出来ない怒りから攻撃してきた。
周りの人達が心配してコチラを見ていた。オカヤマは怖かったが正々堂々と闘った。相手を鎮静化させてから街を出た。
次にオカヤマは集落に着いた。自給自足の生活をしている場所だった。家は全て木で出来ており食べるものも狩りで仕留めたモンスターだった。村の他人たちは初対面のオカヤマに笑顔で接した。村人(パクパク)がモンスターの肉片をオカヤマに向ける。
「オカヤマも食べるか?」
「食べ物くれるの?」
「うん。やる」
「本当にいいのか!」
「・・・・・・どうしようかな」
オカヤマが食べ物を強奪しようとしたら魔法で攻撃された。そのあと食料をタダでもらった。
オカヤマは周りに居る他人たちに聞く。「ここの他人たちは狩り以外になにしてんの。何して遊ぶの」
パクパクの友達(テコテコ)が紙に描いた自画像を見せてくれた。歯がギザギザで目が黒い。「絵を描いて遊んでる。将来は集落から出て画家になるんだ」
「画家かあ。俺は裸の女の人の絵が好きだあ」
「僕はポールセザンヌの絵が好き」
「テコテコ。この集落でヌードモデルしてくれる人いたらやってみたらイイ。描いた女を俺が批評する」
「なんか頭の左側がチクッとした。オカヤマはもう喋らなくてイイ」
オカヤマはパクパクを見る。「パクパクは何して遊ぶ」
「俺は10年前に来た旅人が置いてった雑誌や新聞を読み返すのが好き。数えきれないほど読み返してる」
「そうかあ。俺もエロ本なら数えきれないほど読み返してる」
「お前はさっきから侮辱してんのか」
「してないよお」
「ならそんなこと言うなよ」
「止まんないんだなあ。これが」
オカヤマはパクパクにパンチされた。「痛い」
「ケンさんのパンチはもっと痛いぞ」
「誰ケンさんって」
「あの人だ」指さしたところに男が居た。仮面をかぶり体格の大きい男。「あの人は集落の守り神だ。あの人が集落近辺を根城とする盗賊から俺たちを守ってくれてる。俺たちは血が青い。その血が物好きな収集家に高く売れる。その血を狙って昔は盗賊が攻めてきてたが」
「あの人が」
「そう」
「そんなに強い魔力はないけど」
「ケンさんをナメるなよ。ケンさんが怒ればここら辺の山は全て更地に変わる」
「自然災害」
「俺たちにとっては心強い味方だ。あの人がいるから今もよそ者のオカヤマに俺たちは心を開いてる」
「ケンさんと話してみたい」
「ダメだ。ケンさんは神聖なお方だ。外部の魔物は会話も出来ない」
「ケンさんはそんなに強いのか」
「ああ。ハサミの剣と呼ばれて怖れられてる」
「ハサミを使うのか」
「ああ。よくハサミでジャグリングしてるよ」
「ギャグだろ」
「これはガチだ」
「…………」
「オカヤマはまだここに居るのか」
「まだ滞在するよ」
「なんでお前は旅をしてる?」
「ある男をぶっ飛ばしに行くんだ」
「……そうか。話は変わるがオカヤマは狩りしたいか」
「したい」
「ならここらで狩れるモンスターの習性を教えとく。ついてこい」
パクパクとオカヤマは森に入った。黄色くて四足歩行の大型モンスターを発見する。
「あれはベロンだ。舌が長くてそれを振り回して攻撃してくる。当たれば大木も折れる。警戒心は人より無い。今もベロンは俺たちに気づいてない」
次に大鳥を発見する。
「あれはクウザだ。爪を獲物に食い込ませ抱えて飛んで空から落とし死んだ獲物を食べる。ベロンだって抱えて飛ぶことが出来る」
森を探索していると4人の盗賊と出会った。パクパクが慌てて自分と同じ動きをするよう指示するのでオカヤマは聞いた。
「そんなに危ないのか」
「馬鹿。殺されるぞ。いいから俺の言うとおりにしろ」
盗賊4人が2人を囲む。
「たたたすけてください」パクパクが震える膝を地面に着け許しを請う。「僕は皆から愛される価値のある魔物なんです」
盗賊四人はせせら笑った。
「ダメ」盗賊Aがパクパクの頭を棒で叩いて倒す。次にオカヤマを見て棒で叩き倒す。倒れたパクパクを踏みつけ手首を切り流れる血を持っていたビンに入れていく。
泣くパクパク「くっそぉ~~~~」
オカヤマが盗賊Aに魔法をぶちこんだ。気絶したAを見て盗賊BCDが許しを請う。オカヤマは三人を許した。
夜。オカヤマと村の他人たちは陽気に踊った。パクパクの家に泊まり次の日を迎えた。起床した。朝の6時。彼は日課の準備体操をして散歩に出かけた。昨日の夜は雨だった。雨の匂いがする。森の浅いところをのんびり歩く。彼は右足を出したあと左足を出して歩く。「余裕」と言った後何もないところでこけて泥が付いた。パクパクの家に帰る。
「足が泥だらけだけどどうした」
「朝の鍛錬してたら泥が付いた」
「マジか。すげえな」
「まあな」
オカヤマとパクパクは森に狩りに出かけた。
「昨日みたく魔法を使ってくれよ。そうしたら簡単に狩りが出来る」
「許可なく魔法で狩猟をしたらダメなんだよ」
「そういうもんなのか」
「ま、いっか。つかお」
しばらくしてベロンを見つけた。パクパクが狩猟用の銃を持っていたがベロンは二人に向かって突進した。パクパクが後ろに下がりオカヤマが人差し指をベロンに向ける。「バンっ」
ベロンを殺め二人はその場で解体し食事を摂る。フライパンでベロンの脳を焼くパクパク。「ベロンの脳は身体のわりに小さくて美味しいからウチでは高級食材として扱ってる」
「昨日は食べなかったけど虫はどうなんだ。集落では食べるもんなのか」
「食べるよ。頻繁に。食べてみる?」
「おう」
パクパクがフライパンをオカヤマに渡して茂みに入って行った。数匹の虫をポケットに入れて戻ってきた。オカヤマからフライパンを受け取り虫を入れて焼く。
オカヤマは脳を食べる。「うまい」
「だろぉ。外はカリッと中はクリームのようにトロトロなのだ」
「いくらでも食べられる」
「ふっふ。オカヤマは出身は何処。今まで何して生きてきたんだ」
「それは言わない」
「なんで」
「それはな……ぐすん……」
「……ごめんな」
「……いいんだ。すん……。気にしないでくれ」オカヤマは流れる涙を拭いた。彼の人生に悲しいことは無かったが泣いておいた。
「おわびというか昨日助けてくれたお礼というかケンさんと会話してもいいか集落のリーダーに訊いてみるよ」
「ほんとうか。ありがとう。サンクス」
「いいってことよ」
「そうと決まれば早く話したい。悪いが早々に訊いてくれ」
彼らはしばらく話したあと肉を持って森を出た。オカヤマは虫を食べなかった。
集落に戻るとケンさんは外で天蓋の在るベッドに寝ていた。
「じゃあオカヤマは待っててくれていいから。俺がリーダーにオカヤマがケンさんと会話できるように直談判してくるから」
「うん。ありがとう」
「なに。いいってことよ」
外で椅子に座りニコニコ笑っているリーダーの正面にパクパクは立った。「コクコクさん。オカヤマにケンさんと会話できる許可をくれ」
「ダメ」
「はい」パクパクはオカヤマのところに戻った。「ダメだった」
「いいよ。頑張ってくれた。ありがとう。というか今あそこにケンさんいるんだけど話しちゃダメなのか」
「話し始めたら今ここでそれを見てる他人達が全員でオカヤマを袋叩きにするね」
「それはパクパクも?」
「……うーん」
オカヤマは周りを見る。皆ニコニコして遊んだり働いたりしている。
「ほんとかいな」オカヤマはケンさんのベッドに近づく。ケンさんを見る。仮面をかぶっていて表情は見えないがコチラを気にしていないのは分かった。彼の前で踊ってみた。「ケンさん♪ のケンは♪ 県庁所在地のケン♪」オカヤマは袋叩きにされた。目が覚めるとパクパクの家だった。起き上がろうとすると身体が痛くて出来なかった。
近くにパクパクが居た。「皆がオカヤマを気絶させるまで袋叩きにするのを止めることが出来なくてごめん」
「いいよ。まさか一発目がスキップしながら歌を歌ってた女性のドロップキックだとはね」
「あの人チャンピオンだから。それと俺は袋叩きに参加してないよ」
「分かってる。感謝してる」
3時間後。立てるようになったオカヤマはパクパクに連れ添われて家を出た。パクパクの頭に石が当たった。頭を抱え込むパクパク。
オカヤマが投げたところを見ると怖い顔をした大人たちがいる。「なんで……」
「袋叩きに参加しなかった裏切り者だからだっ」大人はまた石を投げてパクパクの脚に当てる。「この裏切りもんがあっ」
謝るパクパクを見てオカヤマは大人を思い切り殴った。彼は再び袋叩きにあい投獄された。
コクコクが牢屋の外で立ち止まり彼を見る。「何か言いたいことはあるか」
「いやあ自分のことだったんだけどやらなきゃと思った」
「自分のした行いを悔いて改めるか?」
「悔いろうかな。悔いらないでおこうかな」
コクコクは去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます