4つ目の「わたしきれい?」

「ねえ、わたしきれい?」

 大きなマスクをした女が訊く。


「えっ?」


「ねえ、わたしきれい?」

 マスクをした女がもう一度訊く。


「ええ、わたしなんかよりずっと綺麗だと思いますよ」


「うふふ、じゃあ……、これでも――」

 マスクをした女は俄にマスクを外すと、自分の顔を相手に晒した。

 

「あらららら! まぁ、良くできた特殊メークだこと。よく見せてちょうだい。へえー、最近の技術って凄いわね。よくできてるわ……。あっ、まさかこれドッキリ? そう、ドッキリでしょ! わたし、あれ大好きなの。ねえ、これ何チャンネル? 番組名は? 放送はいつ? えぇーと、カメラ。カメラは何処? わたし、テレビに出るの? あらイヤだわぁー。こんな格好で――。化粧もくずれているし……。ちょっと待ってね。化粧直さなくちゃ。これでいいかしら?

 ――どう、?」


「…………」



     〈完〉


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