眼鏡を捨てて



小さな喧嘩を拡大すると戦争になってしまうから

誰も眼鏡をかけていないの

いつも歪んだ景色を正義と偽って

だから虹はアーチ形


文字のない言葉を

感情と呼びましたか

だれかれの通る道の最中に

邪魔な看板を建てるのと一緒

困った道案内についていくことが

安全な人生を送ることらしい


ノートを広げて

将来数学いらないだろ

ってぼやきながら綴る数式

それは未来に私が要らなくなるみたいで

それでも今存在していることを

恥ずかしいと思うのと似ている

だからもう取ってない授業に

古典だって

心の穴は埋めてくれない勘違い


この先の自分を考えるのが辛くなって

涙をカレーで誤魔化した

どうか私の進む出来事

甘口であればいいのにね

ひっくり返した板を元通りに

戻るにはもう帰路はでこぼこ

ひとりだけ

レンズを通して

正しいものを見ている

気になっていた

美化された理想を退屈と覚えて

吐き出したのは軽率な暴言

日本というのに世界というのに

嫌気がさして漠然とした苛立ちを

常に誰かで発散している


虹っていうのは雨が降らないと

見れないんだったら

辛いことを越えた感覚なんて、

釈然としない達成感という名の喪失

両手にすくった水が零れて

この砂漠のまんなかで

枯れ果てて私


もう盲目でなにも見えない





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る