あるゲーム開発会社の悲劇
六地蔵
正念場
もう10年以上前の話である。彼はゲーム開発会社でプログラムのリーダーとして働いていた。とは言ってもメーカーなどの大手とは違い、下請けがせいぜいの中小企業だ。
その日はいわゆる正念場だった。ゲーム内容へのテコ入れを重ねに重ね、さらにはそこにバグも加わり、本来の締め切りを大幅に超過していた。
明日の朝10までにROMを焼き、バイク便に手渡す。これが本当の意味でのデッドラインだった。今では考えられいほどアナログなやり方だし、セキュリティ的にも問題がある。しかし当時はこれ以外の方法がなかった。
時間は午前2時を過ぎている。このバグをとった後、仮眠中のスタッフを叩き起こし、総がかりでチェック。正常に動作することを確認し、その上でROMを焼く。ギリギリだが勝算はある。それに、いろいろあったが最終的には満足のいく作品ができたと思う。だから、一刻も早くバグを潰して…。
その時、視界が闇に包まれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます