村人Aが主人公たちに人生を教えてもらう話

根崎

第一話 よう、村人の「だし」で食う飯は上手いか?

恋愛ゲームや、恋愛小説、昼ドラなど「恋愛」が絡むお話には、必要不可欠な存在がいます。

皆さんも物語を見るのが好きなら、書くのが好きなら必ずと言っていいほどその人が登場しているはずです。

そう、それは「当て馬」です。

当て馬とは本来別の意味があるのですが、まあそれは各自で調べてください。

また、当て馬はどの話においても登場しますが、ここでは置いておきます。

ここでの当て馬は、恋愛における「ヒロインの引き立て役」もしくわ「主人公とヒロインをくっつけるための道具」とします。


例をあげると、

「両想いの二人のうち、主人公のことが好きな「当て馬」が周囲にヒロインの悪口を広め、ヒロインの株を下げようとするが、結果負けじと頑張るヒロインの姿に心を打たれた主人公がヒロインに告白しハッピーエンド」

など。


皆さんも一度は見たことがあるでしょう。そしてあなたも自分の物語にそんなキャラクターを生み出したことがあるのでないでしょうか。

ええ、わかりますよ。便利ですからね、そういう役が一人でもいると。


しかし、皆さん、自分がその「当て馬」になったことはありますでしょうか。

その当て馬の気持ちを考えたことはありますか?

結論から言うと、私は「当て馬」にされたことがあります。ものの見事に。

まるでダンプに轢かれ、神から「てっへー☆」と言われながらチート能力をもらう...ここまでがテンプレ。その物語のダンプの運転手になった気分でした。


何があったのか、少女漫画のあらすじのように書くと

「私、星空きらら16歳☆これまで恋愛とは無縁で全然そんな経験もしてこなかったの(/_;) そんなある日親友の毒島さんから恋愛相談をされちゃった!

お相手はあのクラスで人気の拓也君!私は毒島さんの力になりたくて、拓也君とお話しするようになったわ!毒島さんの言う通り、拓也君はまじめで、男の人と話慣れてない私にも優しく接してくれた。そしてそんなある日、私はついに拓也君から告白をされちゃった...いけない...毒島さんが好きな拓也君と...そんな...いけない...だめ...」


そして私こと毒島は次の日にきらら☆さんから

「もし、私が拓也君と付き合ったら...怒る?」

と言われたわけです。


そのあとしきりに「例えばの話だよ(;´・ω・)」と繰り返していましたが、これで

「そっかー☆例えばの話かー☆」と納得する阿呆はどこにもいないわけで。

私は「そんなことで怒ったりしないよ...だって好きなんでしょ?好きな人同士が付き合うのを、何で私が怒らないといけないの?」と同じセリフを自分の物語で使えるような決め台詞を言ってのけました。


私のその時言った自分の言葉に嘘偽りはありません。

だってそうですよね?両想い同士が付き合っただけ、そのきっかけが私だったとしても、その子がいなかったら私が彼と付き合うことができたわけではない。

怒る理由など、あるわけがありません。

私は物語においてヒロインの「当て馬」役だった。悪い言い方をすれば「だし」にされてしまった。それだけです。


しかし、私はそれ以降、自分の物語に「当て馬」役を生み出すことは出来ません。

出来たとしても、最後には必ず小〇旬の顔をした石油王と結婚させますね。


えー何が言いたかったかというと、何もないのですが、強いて言うのなら、あなたの物語に登場する「当て馬」「噛ませ犬」には、別の形で幸せにしてあげてほしい、そして私も幸せにしてほしい。それだけですかね。


え?本当にその時のことを怒っていないのかって?

答えは最初に行ったはずですよ。最初にね。

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