アポカリプスの解答者

プロローグ:銀の鉛と紫

「神戸先輩、東たちはこのゲームに勝たなくてはいけないのです」


かちゃり。

銀色の鉛球が、少女の持つ銃に装填された。その銃口はゆっくりと、俺を定める。

向けた銃口はそのままに、少女――東 由宇はゆらりと儚げに笑う。

俺はというと、ただそう笑う東を見つめては唾を呑み込んだ。


「だから、どんな手を使ってでも勝利をおさめます。それは、神戸先輩、貴方のためでもあるんですから」


そういって向けられていたはずの銃口を、今度は己の頭に押し付け始めた。

東の顔は、相も変わらず笑ってはいた。

しかし、その手は若干震えているようにも取れた。

周りを見渡せば、俺以外の数十人はその光景を見ており、手で口を覆うもの、もはや興味は薄れたのか横目で見ているものなどさまざまであった。

その中で、紫の髪を揺らす少女の、濃い桃色の瞳がこちらを楽しげに見ている。


「さぁ!早く!!その鉛を解き放って!!!ゲームを進めましょぉう!!!」


耳障りなくらい高いその声が、頭に響く。

東はその声を嘲笑するかのように、言葉を放った。


「――ロシアンルーレットなんて、ほんと、最低なくらい素敵なデスゲーム」


パンッ。

乾いた音が、その場に響く。

次に聞こえた音は、笑い声であの紫の髪の少女のものであることはよくわかった。



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