文章表現

文章表現力の高い文とは、読んでいるだけで、読者がまるで自分がその場に居合わせたかのような、あるいは自分自身が体験している様な気持になれる文章の事である。


具体的には、川端康成の「雪国」の冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。」である。


この文は、「トンネルの中でぼーっと車窓を眺めていると、突然の真っ白な銀世界。


その銀世界に息をのんでいるとあっと気がつくと列車が停車。」という流れを短くかつ簡潔な文章にまとめている。


これを、短い3文のみで描くことにより、心と視界のスピードと、文章のスピードが同期している。


また、殆ど書かれていない、全体を貫く「色」や「気温」「息づかい」までも見ている様な気になってくる。


この様な文章が文章表現が巧みな文章であり、文章表現の巧みな文章とはこの様に臨場感のある文章である。

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