第4話

○戸川歴史博物館

〜展示されていない梁塵秘抄〜

「もしかしたら関村が、研究材料という名目で奪ったのかも知れないな。だから、あの歴史博物館に梁塵秘抄が今でも展示されていない…」と倉本。「じゃあ、奪ったから彼はそれを返さなかったという事」と中田。倉本は「そうかもな。」その一言を言い残すと彼は「もう一度行こう」と言った。「関村さんを知っている人はいますか?」とききこんだところ、「はい」と名乗り出た人がいた。彼は、近衛と名乗った。「あなた、関村さんが梁塵秘抄を持っていった事知ってますか?」と中田。そしたら「ええ」と言う近衛。「関村さんに言いませんでしたか?梁塵秘抄を持ってきてくれと」と倉本。「何故」と言う近衛に対して中田が倉本を助けた。「関村さんが梁塵秘抄を持っていってしまったから、ここにはそれを展示出来ない。だから梁塵秘抄を持ってきてくれと言ってもおかしくはない。だから彼はあなたにそう聞いたのです」と。そしたら「なるほど」と言い、「一度は言いましたけど…。」と近衛。「なんですか?」と中田は彼に聞いた。「関村さんは無理だと言ってまして…、それで何回も梁塵秘抄が展示出来なくなるから持ってきてくれと言っても、聞いてくれないと思いまして。だから一度しか言いませんでした」と。その後、倉本は「一度しか言わなかったのですね。でも、中々返してもらえなかったのなら何回も言った方が良かったのでは」と。そしたら「その方が良かったかもしれませんね。でも同じ事を何回言ってもダメかなと思いまして」と近衛。倉本は「あなた、関村さんを知っているのですよね。さっきからあなたの顔を見ていると、あなた、顔が赤いですね。何か隠しているとか…ないですか?」という鋭い質問を。そしたら「あ、ありません…」というあやしげな返答。それに対して倉本はもっと質問する。「そういえば、昨日、密林で事件がおきましてね。」

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