私がカクヨムですげえと思った小説12選

奈月沙耶

　しまった。いきなり変化球です。しかも12選とか絞っといてここで既に３作品に触れることになります。『私がすげえと思った12人』のが良かったかも。

　失礼しました。

　甲乙さんは短編・掌編の名手です。ユーモアに富んだ軽妙な語り、ウェット感あふれる素朴な語り、鬼気漂う怪奇な語り。自在な語り口で短い中に巧妙な仕掛けを施されたりもします。この技術、羨ましいです。私には絶対にできない。

　で、紹介したいのは関連した二作品なのですが。こちらには前置きがありまして。私がハマるきっかけになったのがこれ。

『炊飯器の恋とイワシの頭』

　自主企画「タイトルだけコンクール（８月）」参加作品です。なので本文がないのですが。こちらのキャッチコピーが秀逸すぎたんです。

　『あの時あなたが「しゃもじ」と叫んだから――。』　

　ね？　めっちゃ気になるでしょ？　「あなた」って誰？？？　これ誰の主観？？？

　その答えが分かる（？）のがこちら。

『Afterword　～炊飯器の恋とイワシの頭～』

『紙背の眼』

　私はこの順番で拝読したけど『紙背の眼』のほうが先なのですよね。それぞれに趣向を凝らした文体になってるので順番は関係なく楽しめると思います。そしてきっと『炊飯器の恋とイワシの頭』ワールドの虜になることでしょう。

　どちらも短くはありますが、くれぐれも人目のある場所で読むことはやめてください。この文字数をヨム時間にしては永遠のように感じることと思います。

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