第44話

「本当に驚きましたよ。近所の方の話で、倉庫が燃えていると言う知らせが入って駆けつけたら小さな布のようなものが灰になって出てきたんですから」

奥から、事件直後に琴音に事情聴取を担当した刑事がコーヒーを持って現れた。

「玉木刑事。今日は非番の筈では…?」

「この姉妹の事情聴取に立ち会いたくてね」

「別にそれは構いませんけど…どうしたんですか?」

「いや、大したことじゃないんだ。どうしても気になることがあってね」

「気になること…ですか」

「ああ。どうして刑事という言葉を小学一年の子が正確に理解しているのか、二人の荷物は犯人によって取り上げられていたのに、なぜグミは取り上げられなかったのか。それに…」

「玉木刑事。じゃあ先にお譲りします。気になったこと、全部聞いてもらって構いませんよ。その代わり、私も参考にさせて頂きますからね」

「本当に良いのか?」

「構いませんよ。じゃあ琴音ちゃん。琴美ちゃん。今からあの刑事さんが質問するから、正確に思い出して答えてね」

「分かった」

琴音が頷いたのを確認し、女性刑事は席を立った。代わって、男性刑事が席に腰掛けた。

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