第30話
「あの人、いつもあんななのよ。現場にタバコ吸って来て、何回も言ってるのにちっとも直してくれないんだから」
代わりに現れた女性刑事は、琴音の前に立つと、まだ開けたばかりのグミを差し出した。
「はい。これ、あなたのでしょ?」
「そう。ありがとう。起きたら無くなってたから、どうなるかと思った」
「犯人が持ってたの。多分、二人が寝てる間に取り上げたのね」
「そうなんだ。あっごめんなさい」
「何で謝るの?」
「さっき、私あの刑事さんに酷いこと言っちゃった。せっかく助けに来てくれて、大丈夫だって言ってくれたのに…酷いこと言って追い出しちゃった。私、私…」
琴音は熱いものを堪え切ることは出来なかった。
「ごめんなさい。ごめんなさい…」
「琴音ちゃん。あなたは何も悪くないのよ。ここにタバコ吸って来ること自体おかしいのよ。私たちがもっと注意しておけば良かったね。私たちこそごめんね」
女性刑事は琴音を抱き締める。久しぶりの人の温もりに直接触れ、琴音は懐かしいものを感じる。
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