第19話

「忘れてた。悪いな」

ドアのノックもせず、男が入って来た。

「何?まだ何かあるの?」

「念の為、お前らの片手を繋いでおく」

犯人はそう言うと、紐を取り出し、二人の片手を繋がせ、強く結んだ。

「じゃあな」

男が立ち去り、再び二人きりになった。

「寝ようか。もうお外は真っ暗だよ」

「うん。寝る」

二人はベッドに横になる。しかし、二人ともなかなか眠りに就けなかった。

「お姉ちゃん。やっぱり眠れないよ」

「じゃあ眠くなるまで、お話ししてよっか」

「お話しする」

「寒くない?大丈夫?」

「うん。あったかい」

「そう。なら良いけど」

「お姉ちゃん。来てくれてありがとうね」

「いきなりどうしたのよ」

「ううん。もしここに一人でいなきゃいけなくなったら、どうして良いか分からなくなってたと思うから」

「そうね。多分、私がもっと遅く着いてたら間に合わなかったかもしれないね」

「苦しかった。ずっと。寂しくて苦しくて、辛かった」

「辛い思いさせてごめんね」

「ううん。身体拭いてくれて、抱き締めてくれて…。嬉しかった」

「そう。なら良いんだけど」

気付けば、琴音も琴美も夢の中に消えていった。

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